同族会社にて貸付金を放棄したのに贈与税がかかってしまった
2008年08月26日 10:11
同族会社にて父親が会社に貸していた貸付金を放棄したのに、後継者である息子に贈与税がかかってしまいました。
なぜ貸付金を放棄したのに贈与税がかかってしまったのかを、今日のメルマガで詳しく解説します。
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朝4時起きの税理士の見田村です。
いつもありがとうございます。
さあ、今日の1分セミナーは
「意外な税金がかかった事例」をお伝えします。
先日、ある方がご相談にいらっしゃいました。
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私は父が社長をしている同族会社の後継者です。
前期の決算で、父が会社に貸している貸付金を放棄しました。
すると、しばらく経って、税理士から電話がありました。
「すいません、贈与税がかかってしまいます・・・」と。
仕方なく贈与税を払いましたが、本当に正しかったのでしょうか。
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さあ、これはどういうことなのでしょうか。
まずは、前提条件です。
○ 持株割合・・・父70%、子30%
○ 父が放棄した貸付金・・・1億円
○ 5年前に発生した繰越欠損金・・・1億円
そして、債権放棄をした理由は
○ 父が会社に貸したお金はなかなか返してもらえない
→ しかし、相続税の対象にはなってしまう
○ 決算書を改善したかった
→ 銀行対策などもあり、決算書を改善したかった
ということです。
もちろん、父が貸付金を放棄すれば、会社は得をします。
だから、会社には「債務免除益」という利益が計上されます。
ただ、この会社には同額の繰越欠損金もあります。
結果、「債務免除益1億円 − 繰越欠損金1億円 = 0円」となります。
だから、法人税はかかりません。
ということで、顧問税理士も安心していたのでしょう。
しかし、事態はそれだけでは終わりません。
子に贈与税がかかってしまったのです。
そして、これは税法で考えると、正しいのです。
その理由は
(1)父が1億円の債権を放棄した
(2)この会社の株式の評価額が上がった
(3)子が持っている株式30%の評価額も当然上がる
(4)父から子に贈与したことになる
という流れです。
つまり、「父の行為により、子の財産が増加 = 贈与」ということです。
ご相談の方の場合、
子の財産の増加額は2,000万円とのことです。
そして、贈与税は年間110万円まで非課税です。
結果、(2,000万円 − 110万円)× 50% − 225万円
= 【720万円】の贈与税を払ったそうです。
厳しいですね・・・。
ただ、この問題はよくあるのです。
そして、債権放棄の他、増資をする場合などにも起こる可能性があります。
だから、
○ 債権放棄をする場合
○ 増資をする場合
などは【絶対に】株価の計算をしましょう。
事業承継、相続などを考えて、
○ 決算書を良い状態にする
○ 債権債務を整理する
○ 株主を整理する
ということはよく行なわれます。
しかし、その過程で【意味のない税金】がかかっては仕方がありません。
きちんと、入口から出口までの設計をし、対策を実行しましょう。
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