生命保険による法人税の節税(その2)
2009年08月11日 08:51
生命保険で法人税を節税することはポピュラーな方法ですが、注意点も沢山あります。今日のメルマガはこれを解説します。
○○さん、朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
いよいよ、税務調査の季節が始まります。
以前にもお伝えしましたが、【税務調査の重要事例30】をまとめた【無料】小冊子をお配りしています。
どうぞ、ご覧下さい。
ただし、○○さんが既にこの小冊子をダウンロードされている場合、再度のダウンロードはしないで下さいね。
よろしくお願いします。
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さあ、今日の1分セミナーは「生命保険で節税する場合の注意点(その2)」です。
先週に引き続き、生命保険で節税する場合の注意点をお伝えします。
今回も重要な内容なので、【ゆっくり】お読み下さいね。
また、今日の内容は【前回の内容を理解していることが前提】です。
そのため、
○前回の内容をまだ読んでいない方
○前回の内容を忘れてしまった方
は【必ず】下記ブログを読んだ上で、下記をお読み下さい。
http://www.77setsuzei.com/magazine/2009/08/06/post_12/
前回のメルマガで、
○個人の税率>法人の税率・・・保険料は個人負担の方が得
○個人の税率<法人の税率・・・保険料を給与と処理した方が得
と書きました。
そして、
○「個人の税率<法人の税率」の場合
かつ、
○保険料を給与として処理した場合
は下記となると解説をしました。
<法人側>
○給与となる保険料負担のキャッシュフロー:−20(法人負担)
○節税になる金額:20×40%=+8
○法人のキャッシュフロー:−20+8=【−12】
<個人側>
○保険料が給与とされ、課税される額:20
○個人の税負担:20×20%=−4
→個人のキャッシュフローも【−4】
<法人と個人の合算のキャッシュフロー>
○−12−4=【−16】→(1)とします
ここからが今日の本題です。
ただし、上記と同じ前提条件の場合、下記の処理【も】可能です。
○保険料20を給与とせず、個人への立替金とする
→保険料は個人負担となる
○通常の給与の額面を20上げる
すると、キャッシュフローは下記となります。
<法人側>
○給与の額面を上げたキャッシュフロー:−20(法人負担)
○節税になる金額:20×40%=+8
○法人のキャッシュフロー:−20+8=【−12】
<個人側>
○給与の額面が増えた額:20
○個人の税負担:20×20%=−4
○個人が負担する生命保険料:−20
○個人のキャッシュフロー:20−4−20=【−4】
<法人と個人の合算のキャッシュフロー>
○−12−4=【−16】→(2)とします
つまり、(1)と(2)のキャッシュフローは同じなのです。
ということは、
(イ)保険料を「法人」が負担し、給与として処理する
(ロ)保険料を「個人」が負担し、保険料分だけ通常の給与をアップする
ということは【全く同じ効果】なのです。
しかし、(イ)の【給与として処理すること】には
「2つのリスク」があります。
(1つ目)
生命保険は解約などをする場合があります。
例えば、通常の給与を100、給与となる毎月の保険料を20とします。
そして、期首から6ヶ月後に解約したとします。
すると、
○期首からの6ヶ月間の給与(1ヶ月)・・・100+20=120
○期首から7ヶ月目以降の給与(1ヶ月)・・100
となります。
これは、
○期首から6ヶ月間・・・・通常の給与+給与となる保険料=給与
○期首から7ヶ月目以降・・通常の給与のみが給与
ということです。
しかし、これが役員ならば「役員報酬が期中で変動」してしまっています。
当然、「解約前」と「解約後」の差額は「役員賞与」となり、
経費になりません。
だから、
○このタイプの生命保険に加入している
○保険料を給与として処理している
場合、「期中での解約など→役員賞与」というリスクがあるのです。
結果として、上記(イ)と(ロ)の【効果は同じ】なので、
(イ)保険料を「法人」が負担し、給与として処理する
→リスクあり
(ロ)保険料を「個人」が負担し、保険料分だけ通常の給与をアップする
→リスクなし
となるのです。
なぜならば、保険の解約などがあっても、変動するのは「個人的に負担している保険料」だからです。
これは「単に」処理を変えるだけで回避できるリスクなのです。
(2つ目)
株主総会などで役員報酬の限度額を決める場合があります。
ただし、通常は議事録を作る時に【意識】しているのは通常の役員報酬【のみ】です。
もちろん、給与となる保険料も含めて作ればいいのですが、結果としてミスする可能性があります。
すると、給与となる保険料があるために、「議事録で決めた限度額<通常の役員報酬+給与となる保険料」となる可能性があります。
この場合、「限度額を超えた部分=役員賞与」となり、経費になりません。
こういうリスクもあるのです。
もちろん、保険料を給与とせず、自己負担にすれば、このリスクは回避できます。
だから、
(イ)保険料を「法人」が負担し、給与として処理する
→リスクあり
(ロ)保険料を「個人」が負担し、保険料分だけ通常の給与をアップする
→リスクなし
となるのです。
結果として、
○(1つ目)の解約などのリスクも
○(2つ目)の限度額を超えるリスクも
下記となるのです。
(イ)保険料を「法人」が負担し、給与として課税する
→リスクあり
(ロ)保険料を「個人」が負担し、保険料分だけ給与の額面をアップする
→リスクなし
いかがですか?
最初のブログのリンクの下で
○個人の税率>法人の税率・・・保険料は「個人」負担の方が得
○個人の税率<法人の税率・・・保険料を給与として処理した方が得
と書きました。
しかし、今回の解説のように「個人の税率<法人の税率」の場合でも
保険料は「個人」負担とした方がリスクが無いのです。
だから、このタイプの生命保険に加入するなら、
個人の税率、法人の税率に関わらず、保険料を個人負担とすべきなのです。
しかし、この生命保険は「全額が経費になる」と営業されているため、このように処理していないことが大半なのです。
前回の内容も含めて、ここまでの提案を受け、判断していることはほとんどありません。
その結果、【自ら】
○リスクのある方法
○損になる方法
を選択してしまうこともあるのです。
このタイプの生命保険に加入するなら、ご注意下さいね。
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