貸金業法の総量規制と決算書の関係
2009年10月27日 12:53
決算書に社長貸付金があると、銀行からの融資が難しくなる場合もあり、キャッシュ・フローにも影響が出る場合があります。
今日はこれと貸金業法の総量規制の関係を解説します。
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来年の6月を目途に、改正貸金業法が施行され、総量規制(年収の1/3までしか借り入れできない)となります。
これが施行されると、決算書から、現実には存在しない現金、仮払金、社長貸付金などを一気に消すことができる生命保険スキームが「実質的に」使えないことになります。
まずは、この生命保険スキームを解説します。
前提となる会社は貸借対照表に、実際にはない多額の現金、社長への多額の仮払金、多額の社長貸付金がある会社です。
しかし、このような決算書は銀行に融資を申し込む際に印象が悪く、銀行からも改善を要請されることがあります。
しかし、社長は一気に返済することができないため、このままでは貸借対照表に多額の現金などが載ってしまうことになるので、困っています。
そこで、登場するのが、このスキームです。
例えば、社長貸付金が1,000万円ある場合の手順はこうです。
(1)ノンバンクが社長個人に1,000万円を貸す
(2)社長は1,000万円を会社に返済する(=貸借対照表から消える)
(3)会社は生命保険に加入する
(4)ノンバンクは(3)の保険証券に(1)の借入金に対する質権設定をする
(5)社長はノンバンクの月々の返済を行なう
だから、「会社が社長に貸している状態 → ノンバンクが社長に貸している状態、会社は生命保険に加入した状態」と変化するのです。
もちろん、社長貸付金など貸借対照表から消えているので、銀行にも出しやすい決算書になっています。
これがこのスキームの解説です。
ということは、今回の総量規制がかかると、ノンバンクから1,000万円を借りるためには、社長の年収が3,000万円ないと借りられません。
しかし、年収が3,000万円あれば、会社から借りている1,000万円はこういうスキームを使わなくても、ある程度の期間で返済できてしまいます。
だから、最初に「実質的に」という表現をしたのです。
もちろん、総量規制はまだかかっていないので、現時点では、このスキームは使える方法です。
もし、決算書から、社長貸付金などを一気に消したい会社がこのスキームを使いたいならば、急がなければなりません。
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