給与所得控除の早見表、計算式から考える給与所得控除の上限
2009年10月28日 12:43
給与所得控除に上限が設けられと個人は増税になる反面、法人は減税になる可能性もあります。今日はこれを解説します。
今日の日本経済新聞に「給与所得控除額に上限を設ける旨」の記事が出ています。
給与をもらう場合、給与の額面金額から給与所得控除額を差し引いて、税金の対象とします。
なぜ、給与の場合はこの給与所得控除があるかというと、個人事業主と比較した場合の経費相当額を給与所得控除額として考えているからです。
まずは、給与所得控除額の早見表をご覧下さい。
給与の額面金額、給与所得控除額という順番です。
162.5万円以下・・・65万円
162.5万円超 180万円以下・・・額面金額×40%
180万円超 360万円以下・・・額面金額×30%+18万円
360万円超 660万円以下・・・額面金額×20%+54万円
660万円超 1,000万円以下・・・額面金額×10%+120万円
1,000万円超・・・額面金額×5%+170万円
ここで、この記事で言っている高額納税者の給与所得控除額に上限が設けられた場合を考えてみましょう。
現在の税制では、上記の計算通り、額面が上がれば上がるほど、給与所得控除額も大きくなる計算式です。
例えば、計算しやすくするために年収を1億円とすれば、「1億円×5%+170万円=670万円」が給与所得控除額です。
もし、これに300万円という上限が設けられたとするならば、今よりも「670万円−300万円=370万円」が増税の対象になります。
そして、税率を50%とすると、「370万円×50%=185万円」の増税となります。
国策として、高額所得者に負担を求めるとのことですが、どの程度の限度額になるのでしょうか・・・。
ただし、この上限が設けられたことにより、逆に節税になる可能性もあります。
現在の税制では、一般的な中小企業の社長の給与に対する給与所得控除額は「法人税の計算上」経費になりません。
これに関しては、民主党は撤廃すると掲げていましたが、最終的な結論は法案が国会を通過するまで分かりません。
もし、この制度がそのまま継続するならば、給与所得控除額の上限額が設けられたことにより、経費にならない額にも上限が設けられることになります。
例えば、上記の年収1億円の例で考えてみましょう。
現在の税制では、給与所得控除額は670万円が法人税の計算上、経費になりません。
だから、、「670万円×40%=268万円」の法人税が増えます。
しかし、給与所得控除額に300万円の上限が設けられたとすると、経費にならない金額も300万円です。
そうすると、増える法人税は「300万円×40%=120万円」となり、「268万円−120万円=148万円」の節税になるのです。
もちろん、個人額の税金は増えていますが・・・。
だから、給与所得控除に上限が設けられ、現在の税制がそのまま継続する前提ならば、個人は増税、法人は減税になる部分もあるのです。
ちなみに、峰崎財務副大臣のコメントでは年収2,000万円の給与所得控除額が目安とされているので、「2,000万円×5%+170万円=270万円」となり、今回のブログでは、300万円を上限としてみました。
実際に税制がどうなるかは未定ですが、あなたの会社の事例で考えてみてください。
投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人