売上計上基準、資金繰り、税務調査の関係とは?
2009年11月14日 11:08
税務上、売上計上基準の考え方には様々なものあります。今日はこれを解説します。
「今期において計上すべき売上が来期に計上されている」ということを税務調査で指摘されることがあります。
つまり、「期ズレ」です。
ちなみに、売上計上基準を税務上、どう考えるかには様々な基準があります。
例えば、商品販売であれば、出荷した日、相手が検収した日、相手が使用できるようにとなった日、検針などにより販売の数量を確認した日などで、その商品の種類、性質、契約の内容などによって、その「引渡しの日として合理的である日」を「継続的に」採用していれば、税務上は問題ありません。
ところが、この部分に関して、会社と税務署で意見が分かれることがあります。
もちろん、色々な場合があるので、ここでは全てを解説できません。
しかし、「相手が検収した日」を売上計上基準とすべきなのに、これを『「出荷した日」を売上計上基準として下さい』と指摘されることがあります。
しかし、この指摘された点をどう交渉するかは今後のキャッシュフローにも大きく影響する場合があるので、注意しなければなりません。
なぜならば、この交渉結果により、今後、どう経理するかということが変わってくるからです。
そして、今期末に出荷(=当期末までに納品)、翌期に相手が検収という商取引に関しては、「その売上は今期分に計上すべき」となるからです。
当然、売上がドンドン上がり、取引量が多くなれば、この期末の取引高も大きくなります。
当期末に納品した商品の売掛金の入金も、税金の申告(=納付)の段階で入金されていないかもしれません。
だから、売上が上がれば上がるほど、資金繰りが厳しくなる可能性があるのです。
「売上が上がると、資金繰りが苦しくなる」というのは、おかしな話ですが、現実問題としては、よくある話なのです。
だから、この売上計上基準に限らず、今後の会社の経理処理に大きく影響することに関しては、きとんと決着させておく必要があるのです。
今回の例以外では、外注費により資金繰りが苦しくなるケースもあります。
会社の成長と共に外注費も増え、先に外注費を支払うが、得意先からの入金は後になるというケースです。
こういう場合も、会社の成長と共に、資金繰りが苦しくなります。
ちなみに、この場合の打開策は、プロジェクトごとに融資を受けるとい方法、中小企業でも発行できる私募債など発行(=長期で返済する資金調達)などの方法があります。
会社が大きくなればなるほど、苦しくなったのでは意味がありません。
そのためにも会社の成長、税務調査での結果、資金繰りということは非常に大切なことなのです。
なお、外注費に関する税務上の注意点に関しては、過去に2つの記事を書きました。
こちらも併せて、ご注意下さい。
投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人