修繕費の判定におけるポイントとは?
2009年12月08日 12:21
修繕費の判定において、これが修繕費なのか、資本的支出(=固定資産に計上)なのかは一定の判定基準があります。そこで、今日のメルマガではこれを解説します。
朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
さて、12月になり、いよいよ年末が近づいて来ましたね。
この12月は3月、9月に次いで、決算を迎える会社が3番目に多い月です。
そこで今日の1分セミナーは「節税」をテーマに、「修繕費と資産計上の分岐点」を解説します。
例えば、あなたの会社で、建物、機械などに大規模な修繕をしたとします。
この場合、この経費は
○修繕費として、一度に経費になるのか?
○固定資産に計上し、減価償却費として、一定の期間で経費になるのか?
が分かれることになります。
まず、この判定に関して【絶対に】憶えておいて欲しいことは
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所有している固定資産に対する「原状回復」の費用は
「金額に関わらず」、修繕費として一時の経費でOK
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ということです。
これを踏まえた上で、判定の流れをみていきましょう。
ただし、細かい部分は割愛するので、基本的な判定はこうなるというレベルで考えて下さい。
(1)その額は20万円未満か?
→YES→修繕費でOK
→NO→(2)へ
(2)約3年以内の周期で行なわれるものか?
→YES→修繕費でOK
→NO→(3)へ
(3)建物の増築※など、明らかに資産に該当するものか?
※用途変更のための模様替えはここに含まれます。
→YES→固定資産に計上し、減価償却する
→NO→(4)へ
(4)通常の維持管理の費用か?
→YES→修繕費でOK
→NO→(5)へ
(5)壊れた固定資産に対する原状回復の費用か?(上で解説したもの)
→YES→修繕費でOK
→NO→(6)へ
(6)その額が60万円未満、または、前期末の取得価額の約10%未満か?
※【約】10%未満なので、10%で線引きする必要はない
→YES→修繕費でOK
→NO→(7)へ
(7)その会社が「継続して」下記の経理処理をしているか?
[1]その額×30%
[2]前期末の取得価額×10%
[3][1]、[2]の少ない方を修繕費、残りの額を資産計上
→YES→少ない方が修繕費でOK
→NO→その他の細かい判定へ(ここでは省略)
おおまかな流れを解説すると、こうなります。
もちろん、グレーゾーンである場合もあるのですが、税務上、明確である場合もあります。
しかし、税理士は保守的な人が多い職種でもあります。
その結果、
○金額が大きいから、固定資産に計上しましょう
○どちらにしろ、経費になるからいいではないですか
と言われ、修繕費にできるものを固定資産に計上している会社もあります。
しかし、よく考えてみると、非常に大きな違いなのです。
例えば、耐用年数50年の建物に、1,000万円の経費がかかったとしましょう。
1,000万円が修繕費なら、1,000万円×40%=400万円の節税が【一度に】できます。
しかし、これを50年で減価償却するならば、1年に経費になる金額は「1,000万円÷50年=20万円」です。
だから、「20万円×40%=8万円」が【一度に】節税できる額です。
当然ですが、投資効果で50倍もの差が出てくるのです。
しかも、固定資産が膨らむということは、銀行に提出する決算書としても良くありません。
今回は解説しませんが、固定資産は少ない方が決算書の財務分析の点数は良くなるのです。
つまり、「持たざる経営」が良いということです。
これだけの要素があるにも関わらず、「税務署に否認されるかもしれないので、資産計上しましょう」という保守的な税理士は本当に多いのです。
本音を言えば、税務署に否認された場合、「困るのはお客様でなくて、自分だ」という自分の保身に走っているのです。
実際、ある税理士に「判断に迷ったら、納税者不利にしておけばいいんだよ」と言われたこともあります。
しかし、私は違うと思います。
医者は手術前に手術方法とリスクを患者さんに説明します。
税務でもこれと同じことが必要です。
当然、グレーゾーンはあります。
そして、これを積極的に判断するか?保守的に判断するか?はケースバイケースです。
しかし、積極的に判断するなら、その根拠とリスクの説明をすべきです。
保守的に判断するなら、保守的に判断した理由を説明すべきです。
しかし、ここまで意識していない税理士が多いことも現実です。
この結果、お客様は知らず知らずのうちに、損をしているのです。
いかがですか?
今回は修繕費か?固定資産か?ということを例に解説しましたが、積極的に判断すべき場合と保守的に判断すべき場合があります。
しかし、多くの場合、これが適正に使い分けられていません。
もっといえば、積極的な処理が税務調査で否認されたとしても、もともと保守的な処理をしていれば、払っていた税金です。
もっと極端に言えば、税務調査が無ければ、その是非を問われることもなく、終わってしまう話です。
税務調査があっても、その是非が問われるとも限りません。
根拠無く、積極的な判断をすることは意味がありませんが、適正な根拠を持って、積極的な判断をすることは大きな意味を持つのです。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人