変動費、固定費からみる経費削減の考え方
2010年01月26日 10:54
会社の経費が「変動費」が多いのか、「固定費」が多いのかによって、経費削減の考え方は変わってきます。
そこで、今日のメルマガでは会社を黒字化するために「変動費」、「固定費」を理解した上で経費削減を進めていく方法を解説します。
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おはようございます。
朝4時起きの税理士 見田村です。
私は「不景気」という言葉を使うことはあまり好きではありませんが、
不景気であることは事実です。
こういう状況なので、経費の削減に取り組んでいる会社も沢山あります。
そこで、今日の1分セミナーは
「経費を削減する場合の考え方」について、解説します。
もし、皆さんが「経費の削減をしよう」と思った場合、
何から手をつけますか?
「とりあえず、仕入れ値の交渉をしよう」という発想になっていませんか?
経費の削減を考える場合、「とりあえず」的な発想ではいけません。
交渉しやすいものから始めてもいけません。
きちんと根拠をもって行なうことが大切なのです。
そもそも、皆さんの会社の経費は変動費※が多いですか?
それとも、固定費※が多いですか?
※変動費・・・売上の増減に伴い、増減する経費(例:仕入れ)
※固定費・・・売上に関係なく、定額でかかる経費(例:家賃)
このどちらが多いかによって、削減の考え方が変わってくるのです。
経費の構造を業種別にみてみましょう。
『「TKC経営指標」から見た産業別経営動向』(平成21年版)
によれば、産業別の変動費と固定費の割合は下記となっています。
建設業・・・変動費62.6、固定費36.6
製造業・・・変動費54.8、固定費42.7
卸売業・・・変動費80.3、固定費18.5
小売業・・・変動費70.0、固定費29.6
宿泊業、飲食サービス業・・・変動費31.4、固定費68.8
サービス業・・・変動費43.5、固定費54.5
もちろん、これは業種ごとに大きくまとめた数字なので、
個々の会社で考えると、かなりずれるケースもあるでしょう。
例えば、高級寿司店と回転寿司では原価率もかなり違います。
大切なことは、経費の構造を理解し、
中心となっている経費から手をつけるということです。
変動費が多ければ、変動費から手をつけ、
固定費が多ければ、固定費から手をつけるということです。
赤字か黒字かということは、結果としては算数の世界なので、
きちんと分析した上で対策することが大切なのです。
例えば、皆さんが固定費の代表格である家賃の削減をしようと思ったら、
ビルオ−ナーとどう交渉しますか?
1つの例として、2009年11月に書いたブログの記事をご紹介します。
ちなみに、ブログでもメルマガとは違う内容の記事を書いていますので、
定期的にチェックして下さいね。
http://ameblo.jp/mitamura1023/
【ここからブログの記事】
まだまだ不況が続いている状況の中、
不動産オーナー側は高い空室率、現在のテナントの移転リスクに
さらされています。
例えば、東京港区の例で言えば、昨年1月に比べると約2倍となり、
8%を超えています。
逆に、借りているテナント側は売上が下がっても
定額で支払わなければならない家賃に苦しんでいる場合もあるでしょう。
そこで、定期借家契約による家賃の値下げをご紹介します。
この定期借家契約とは、
契約で決めた一定期間の解約ができない性質のものです。
例えば、現状の契約を
「家賃を1割下げる変わりに、契約期間を5年間とする定期借家契約」
に変更したとします。
そうすると、オーナー側では5年間の収益が保証され、
その期間の空室リスクにさらされることがなくなります。
そして、テナント側では
従来よりも安い家賃で借りることができるようになります。
もちろん、景気が回復し、売上も増え、移転を考えたとしても
5年間のしばりがあることにはご注意下さい。
ただし、現状を考えれば、まだまだ景気は回復に向かっていない状況です。
苦しいのはオーナー側もテナント側も同じです。
双方がwinwinとなるための定期借家契約は有効な方法なのです。
ただし、家賃の値下げ交渉であることに変わりはないので、
オーナーからは言い出しにくいこともよくあります。
だから、テナント側から提案してみるのもいいでしょう。
【ここまでブログの記事】
いかがですか?
経費削減というと、
「とりあえず、○○から」、「交渉しやすいものから」
となることがよくあります。
しかし、それでは「本当の効果」は出ません。
経費を削減するなら、
まずは経費の構造を分析することから始めましょう。
これを分析すれば、皆さんの会社の損益分岐点の売上高が分かります。
損益分岐点の売上高 = 固定費 ÷(1−(変動費÷売上高))
今の数字を横に置いて、削減した数字で計算してみましょう。
細かい内容は総勘定元帳や仕入先からの請求書なども参照しましょう。
そして、黒字化するためには
「何をいくら削減すればいいのか?」ということを理解し、
削減目標を立てましょう。
こういうことを行なわずに行動することは、
地図がないまま、道を走っていくようなものなのです。
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