金融庁の監督指針と歩積両建預金
2010年02月23日 06:24
今回は節税ではなく、資金繰りに大きく影響する「金融庁の監督指針と歩積両建預金」の話をします。
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朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
相変わらず、資金繰りに苦しんでいる中小企業が多い状態です。
政府も保証制度の拡大などで対応していますが、「現場では逆行したこと」が行なわれていることもあります。
私自身、現場でコンサルしていて、非常に腹が立つこともあります。
そこで、今日の1分セミナーは「銀行からの融資と定期預金の開設、担保」についてお話しします。
銀行から融資を受ける場合、定期預金の開設、定期預金の担保を勧められることがあります。
当然ですが、担保にされた定期預金は自由に使うことができません。
しかし、これは平成21年12月に出された金融庁の監督指針の中でも「過当な両建預金(融資と預金が両建て)の受入れなど、正常な取引慣行に反する不適切な取引の発生をどのように防止しているか」と防止するように記載されている内容です。
しかし、実際の現場ではこれが行なわれていることがあるのです。
ちなみに、「過当」かどうかに明確な基準はなく、状況を総合的に判断することになります。
ただし、「明らかに過当ではないか!」と思われるケースもあるのです。
よく考えてください。
資金繰りが厳しいから融資を受けているのです。
その1部が担保になり、自由に使えないのでは意味がないのです。
また、私の新刊にも書きましたが、預金と融資の両建ては損になります。
たとえば、
○担保になっている定期預金・・・5,000万円(金利0.5%)
○融資を受けた額・・・1億円(金利5%)
としましょう。
これを相殺すると、下記となります。
(金利)
1億円×5%−5,000万円×0.5%=475万円
(元金)
1億円−5,000万円=5,000万円
ということは、「475万円÷5,000万円=9.5%」となり、【本当の金利】は9.5%となるのです。
契約書に記載された金利は「5%」でも、「9.5%」で借りていることと変わらないのです。
以前、あるお客様のコンサルをしていて、両建預金※を解除し、融資額と相殺してもらうことになりました。
※このお客様は定期預金5口座が両建預金になっていました。
しかし、この時の銀行の担当者は「銀行の収益もあるので、段階的にやってもらえませんか?」とお願いしてきました。
正直、びっくりすると同時に腹が立ちました。
銀行も収益が苦しいのは分かります。
しかし、これを資金繰りが厳しい中小企業に求めるのは理不尽な話です。
会社は銀行に「お金をあげる」ために存在しているのではありません。
しかし、こういうことが現場で起きていることも事実なのです。
この案件では一度に相殺してもらい、月々の返済を軽くしてもらいました。
銀行の担当者は「余分な税理士が出てきた」と思ったかもしれません。
銀行はより多くの預金を集め、より多くのお金を貸すことが仕事です。
だから、その両方に逆行する相殺はしたくないでしょう。
しかし、中小企業は資金繰りが厳しいのです。
本業から生まれる毎月のキャッシュフローはある程度、決まっています。
ここでは強く書きましたが、私はなにも「銀行とケンカしろ」と言っているのではありません。
この点は誤解しないでください。
あくまでも、資金繰りが厳しく、過当な両建預金があるならば、「金融庁の監督指針を根拠にし、銀行ときちんと交渉してください」ということを言いたいのです。
政府は保証制度の拡大などで中小企業を応援してくれています。
しかし、一方でこういう状態になっていては意味がありません。
もし、あなたの会社の定期預金が担保になっているならば、これを検討する必要があるかもしれません。
繰り返しになりますが、「過当」かどうかの明確な基準はありません。
だから、「金融庁の監督指針に照らして、過当な両建預金ではないですか?」と交渉することが大切なのです。
銀行にとって、金融庁の検査は非常に嫌なものなのです。
あくまでもケンカをするのではなく、主導権を取り、交渉することが大切です。
しかし、一般的な中小企業の場合、銀行に主導権を取られていることがよくあります。
銀行は返済されては業績に影響します。
だから、中小企業側が「本当は主導権を取れる」ケースもあるのです。
常に銀行に主導権を握られていてはいけません。
交渉すべきことは交渉すべきなのです。
銀行はまず倒産しませんが、中小企業は普通に倒産します。
そういう意識をもって経営することが大切なのです。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人