「関係会社に資産を譲渡して含み損を実現したい」場合の取引の注意点
2010年07月06日 13:11
平成22年度の税制改正で新たに登場した「グループ法人税」の大きなポイントの一つに「資産の譲渡損益を計上しない」というものがあります。
「グループ法人税」の「資産の譲渡損益を計上しない」は、 平成22年10月1日以降の売買から適用になりますので、「関係会社に資産を譲渡して含み損を実現したい」場合は、平成22年9月30日までに売却しなくてはなりません。
今日のメルマガでは、平成22年9月30日までの間に増えるであろう、関係会社との不動産取引時に注意しなければいけないことを解説します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「売却損と節税の分岐点」です。
5/18のメルマガでも解説しましたが、
平成22年度の税制改正に「グループ法人税制」というものがあります。
5/18のメルマガ → http://www.77setsuzei.com/magazine/2010/05/18/post_197/
これは100%子会社に限った話ではないので、
多くの中小企業で関係会社がある場合は該当する税制です。
また、これには様々なポイントがありますが、
その大きな1つが「資産の譲渡損益を計上しない」ということです。
これは
○ 平成22年10月1日以降に行なう売買
○ グループ会社間での資産の譲渡損益は認識しない
○ 対象となる資産は土地、建物、機械、有価証券など
となっています。
逆に言えば、
「関係会社に資産を譲渡して含み損を実現したい」
という場合、9/30までに売却しなければならないのです。
そのため、この3ヶ月間は関係会社間での不動産などの売買が
増える可能性があります。
ただし、その時に「絶対に」注意して欲しいことがあります。
それは売買契約書などの形式だけでなく、
売買を行なうことに合理性を持たせて欲しいということです。
つまり、「経済合理性のある取引」ということです。
この経済合理性がない場合、売却損が否認される可能性があります。
これに関して、興味深い裁決(平成11年12月22日)をご紹介します。
前提条件、国税不服審判所の判断の順に解説します。
(前提条件)
○ 不動産会社A社と不動産会社B社は関係会社
○ A社はB社にマンション用地を売却(平成7年4月)
→ A社に約2億円の売却損(売却損計上後も黒字)
○ A社はB社から建物付きで買い戻し(平成7年8月)
→ A社は売却の4ヵ月後にB社から買い戻し
→ 実際の引渡しは建物完成後の平成8年7月
→ B社には1億円超の繰越欠損金あり
→ B社には約2,000万円の利益(繰越欠損金と相殺)
○ 税務調査があり、売却損が否認、重加算税もかけられた
○ 争いになり、国税不服審判所の判断を仰ぐことに
(国税不服審判所の判断)
○ この取引は「節税が唯一の目的だった」という疑念は否定できない
○ 売買契約書も完備、代金の支払い、登記などもきちんと実行
○ 関係会社間の取引だから売却損を否認することはおかしい
ということで、納税者が「全面的に」勝ったのです。
当然、重加算税もかかりませんでした。
ちなみに、回避できた重加算税は約9,000万円です。
それから、これと似た裁決(平成13年5月29日)で、
下記のものがあります。
(前提条件)
○ C社は関係会社D社に土地建物(賃貸物件)を売却
→ C社で売却損の計上
→ D社の購入資金は別会社を経由したC社からの迂回融資
→ 所有権の移転登記などの登記がされていない
○ 土地建物売却後もC社が賃貸人として活動
そこで、国税不服審判所はC社の売却損を否認しました。
つまり、納税者が負けたということです。
しかし、重加算税は課されませんでした。
当然、後者の案件は重加算税がかかってもおかしくない内容です。
しかし、これでも重加算税がかからなかったことは注目すべき裁決です。
最初の話に戻ります。
ここ3ヶ月は関係会社に対する不動産売却などの
駆け込み需要があるでしょう。
ただし、その際に注意して欲しいことは
○ 取引の経済合理性
○ 売買契約書、登記、資金の流れなどの形式
です。
これがきちんと整備できていないと否認されるリスクがあるので、
ご注意くださいね。
なお、メルマガである以上、取引の詳細な流れまで書くことはできません。
これと同じような取引をお考えの方は、
裁決の原文を税理士さんに見せてもらい、解説してもらうといいでしょう。
そして、秋以降の税務調査で、その取引が問題になった場合は、
前者の裁決を根拠に堂々と交渉しましょう。
経済合理性という要素も大切ですが、
過去の裁決などを交渉材料にすることも非常に大きな要素なのです。
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