節税、生命保険、役員退職金の関係
2010年07月20日 09:27
節税を考えて生命保険に加入する会社は沢山ありますが、結果としての役員退職金と生命保険金のバランスが悪く、あまり節税にならなかったという事例もあります。今日は節税、生命保険、役員退職金というポイントについて解説します。
○○さん、朝4時起きの税理士見田村です。
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では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「生命保険金と役員退職金のバランス」です。
9月に決算を迎える会社は沢山あり、
そんな会社は今期の損益も見えてきた頃でしょう。
厳しい会社も多いですが、利益をしっかり出している会社もあります。
そんな黒字の会社は節税を考え、生命保険に加入する場合もあります。
しかし、加入に際して注意して欲しいポイントがあるのです。
このポイントは現状が赤字でも、
法人契約で生命保険に入っている会社にも同じことが言えます。
むしろ、赤字の会社の方が注意すべきポイントです。
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それは、
「死亡保険金と役員退職金の額のバランス」
ということです。
人の死はいつどこで起きるか分かりません。
健康な方でも明日、事故で亡くなってしまうかもしれません。
もし、社長や役員などが急死した場合、
*NAME*さんの会社には生命保険金がいくら入るでしょうか?
「生命保険金の額=適正な役員退職金の額」
というバランスが取れていれば、問題ありません。
しかし、このバランスが悪く、
「生命保険金の額>適正な役員退職金の額」となるなら問題です。
生命保険金として収益になる額※には法人税がかかります。
※保険積立金がある場合、保険金との差額が収益になります
だから、同じくらいの役員退職金を計上したくなるのです。
もちろん、その役員退職金が税務上の適正額なら問題ありません。
この適正額の「基本的な」計算方法は
「役員報酬の最終月額×在任年数×功績倍率※」です。
※役員退職金規定に定めた倍率(例:代表取締役は3.0)
この算式で計算した役員退職金が
保険金として収益に計上される額とほぼ同額なら問題ありません。
しかし、そうなっていないケースは沢山あるのです。
結果、生命保険金に法人税をかけられたくないから、
過大な役員退職金を支払い、争いになるケースも多いのです。
ちなみに、過去の判例などを読んでも、
「生命保険金の入金額と適正な役員退職金は関係ない」とされています。
もちろん、この算式で計算した額が役員退職金の絶対額ではありません。
ただ、税務調査を考えた場合、
この算式で計算した役員退職金を支払うのが安全策なのです。
なぜなら、過去にも役員退職金が過大かどうかの争いは沢山あり、
その際に基準となるのが「類似法人」の役員退職金の額だからです。
税務署などは日本全国から類似法人をピックアップすることができ、
否認の根拠とすることができます。
しかし、民間の会社は統計データなどを参考にするしかなく、
類似法人の選定には限界があります。
結果として、「役員報酬の最終月額×在任年数×功績倍率」以外の
計算方法は採用しにくいことになります。
だから、安全策として、この計算式を採用できるならば、
その方がいいのです。
特に、赤字の会社は役員報酬が低くなっている反面、
景気のいい時代に加入した高額な生命保険を継続している場合もあります。
こういう会社はこの算式で計算した役員退職金が低くなるので
注意が必要です。
今までの話をまとめると、
○人の死はいつどうなるか分からない
○今、社長や役員が他界した場合の生命保険金はいくらか?
→保険積立金がある場合、その差額が収益となる
→保険金ととして、収益に計上される額(税金対象)はいくらか?
○一般的な算式で計算した役員退職金はいくらか?
○生命保険金と役員退職金のバランスはOKか?
ということです。
繰り返しになりますが、このバランスが悪い会社は沢山あります。
もっと言えば、病気などのため、
社長や役員などの死期がある程度は予想できるのに、
役員報酬が低すぎる会社もあります。
こういう会社は支給したい役員退職金を考えて、
役員報酬を設定しておくべきです。
もちろん、役員報酬は
○常勤、非常勤
○仕事の内容に対する妥当性
○株主総会、取締役会で決めた額
などをベースに税務上の適正額が決まります。
だから、役員退職金の額「だけ」を考えて、
役員報酬を設定することは否認のリスクもあります。
ただ、役員報酬の適正額の基準は曖昧なので、
否認しにくいという側面もあります。
ちなみに、役員退職金を意識して役員報酬を上げるなら、
○他の役員の役員報酬の額、推移
○従業員で最も給与が高い人の額
○会社の損益の状況
なども含めて、判断することになります。
9月絞めの会社は損益の状況が見えてきた頃です。
生命保険に加入するなら、役員退職金とのバランスを考えましょう。
その他の会社でも、このバランスをチェックしましょう。
多くの会社でそこまで考えずに加入し、
役員退職金の否認リスクを負った金額を払っていることも事実なのです。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人