役員、社員の不正は会社の責任になり重加算税となってしまいます
2010年09月14日 10:12
税務調査において、役員または従業員の不正が発覚した場合、会社が責任を問われて重加算税をかけられてしまうことがあります。
今日は、複数の国税不服審判所の裁決を参考にしながら、役員または従業員の不正が発覚してしまった時の対処方法を解説します。
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では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「それは会社の責任なのか?」です。
今日は長文ですが、しっかりと付いてきて下さいね。
色々な事例を知って頂きたいので、長いですが、敢えて書きましたので。
税務調査があり、社長以外の役員、従業員の不正が発覚することがあります。
たとえば、売上を抜き、着服していたような場合です。
このような場合、社長が知らなかったとしても会社(納税者)の責任になり、
重加算税がかかることがあります。
しかし、他の役員や従業員が勝手にやったことです。
重加算税までかけられては、社長としては納得がいかないでしょう。
実際、これに関する争いは沢山ありますが、
完全に納税者に不利な結果となっています。
以下、国税不服審判所の裁決を8個見ていきましょう。
全て、「重加算税は妥当」とされた裁決です。
(1)昭和55年4月30日
税理士事務所の従業員による仮装、隠ぺいがされた申告書が提出され、
納税者には仮装、隠ぺいの意思はなかったとの主張が認められなかった裁決
(納税者の主張)
○ 税理士事務所の従業員が独断で収入金額を圧縮した申告書を作成した。
○ 納税者はその従業員から内容の説明を受けていない。
○ 過少申告であることを知らなかったから、仮装、隠ぺいの意図は無い。
(国税不服審判所の判断)
○ 納税者と税理士との間にどんな事情があったかは関係ない。
○ 税理士がどこまで関与したかも関係ない。
○ 納税者が押印した申告書を提出したことは仮装、隠ぺいに該当する。
(2)平成2年8月23日裁決
常務取締役が行なった仕入の架空計上は代表取締役が知らなくても、
納税者の仮装、隠ぺいと同じであるとされた事例
(納税者の主張)
○ 常務取締役が私欲により行なった仕入の架空計上であり、会社は関係ない。
○ 代表取締役はその不正経理を知らなかったから、納税者自身の行為ではない。
(国税不服審判所の判断)
○ 仮装、隠ぺいは法人の代表者に限定されるものではない。
○ 代表取締役が知らなかったとしても関係ない。
○ その役員及び家族等で経営に参画している者の行為は、納税者の行為と同じ。
(3)平成3年7月25日
顧問税理士が重加算税となる過少申告をした場合、
納税者が認識していたか否かにかかわらず、重加算税がかかるとされた事例
(国税不服審判所の判断)
○ 税理士が納税者に代わって行なった税務申告は、納税者が行なったのと同じ。
○ 重加算税の責任も納税者が知っていたか否かに関わらず、納税者が負うべき。
(4)平成5年10月12日
専務取締役が行なった売上除外、個人名義の預金への預入れは、
納税者の仮装、隠ぺいと同じであるとされた事例
(納税者の主張)
○ 売上の除外、個人名義の預金への預入れは専務取締役個人の背任行為である。
○ 代表取締役は知らなかったので、納税者に仮装、隠ぺいの意思及び事実は無い。
(国税不服審判所の判断)
○ 実質的に経営の主宰者である専務取締役の行為である。
○ 代表取締役が知っていたかどうかにかかわらず、納税者の行為と同じ。
(5)平成7年12月14日
経理部門という重要部門に所属し、課長等の権限がある者の仮装、隠ぺいは、
特段の事情がない限り、納税者本人の行為と同じであるとされた事例
(納税者の主張)
○ 棚卸資産の圧縮(=売上原価の水増し)は経理課長が行なったもの。
○ 代表取締役、その他の役員は全く知らなかった。
(国税不服審判所の判断)
申告と重要な関係がある経理部門の課長が行なった仮装、隠ぺいは
特段の事情がない限り、納税者本人の行為と同じである。
(6)平成10年12月2日
期末までに納品されておらず、担当者もこの事実を知っている上で、
経費の根拠となる納品書、請求書の発行を取引先に依頼し、
期末までに納品されたように仮装した事例
(国税不服審判所の判断)
○ 担当者が故意に事実を仮装したものである。
○ 仮装、隠ぺいは、納税者本人の行為に限定するものではない。
○ 仮装、隠ぺいは広くその関係者の行為を含むとしても違法ではない。
○ 従業員の私利私欲を目的として行われた仮装、隠ぺいによる過少申告
のような場合はともかくとして、納税者本人の行為と同じと見るべきである。
(7)平成11年7月1日
パチンコ店のフロアー責任者及び経理責任者の従業員が行なった売上除外で、
これが横領目的だったとしても、納税者の行為と同じとされた事例
(国税不服審判所の判断)
○ 仮装、隠ぺいは法人の代表者に限定されるものではない。
○ その役員又は従業員等で経営に参画している者が仮装、隠ぺいした場合、
法人の代表者がその事実を知っていたか否かは関係ない。
○ 法人の代表者は医師のため、パチンコに関しては素人であり、
店には年1〜2回しか来ていないため、この従業員は経営に参画と認められる。
○ このような地位にあった従業員が故意に売上を除外した以上、
それが私利私欲のために行なったものでも関係ない。
○ 代表者が知らなかったとしても、この従業員の行為は納税者の行為と同じ。
(8)平成15年12月16日
相当な権限がある従業員が行なった売上除外は納税者の行為と同じとした事例
(国税不服審判所の判断)
○ 仮装、隠ぺいは法人の代表者に限定されるものではない。
○ 法人の代表者がその事実を知らなかったとしても関係ない。
○ 役員や従業員で経営に参画している者、申告に重要な権限を持つ者が
事実を仮装、隠ぺいした場合は納税者の行為と同じ。
○ 今回は経理業務を任せていた従業員が売上を着服し、帳簿操作もしていた。
○ この従業員は納税者の印鑑、通帳だけでなく、代表者の個人印も持っていた。
○ 経理全般を任され、決算や申告に関わる経理等を行ない、
申告書の「経理責任者自署押印」欄に自分の氏名を記名、押印している。
○ 申告に重要な関係のある相当な権限がある従業員であると認められるから
従業員の行為は納税者の行為と同じである。
全部で8個ありましたが、読みきりましたか(笑)?
少し大変でしたね。
正直、社長が知らなかったとはいえ、厳しい結果ですね・・・。
ただ、数字のことが苦手で「任せてある」という大義名分の下に
「放置している」というケースは【かなり】あります。
税務調査で不正が発覚した場合、
それは会社の責任も問われることになるので注意しましょう。
ただし、上記の裁決から「敢えて」反論すべき論点を見つけるとこうなります。
○ 平成2年8月23日の裁決から
その役員及び家族等で経営に参画している者の行為は、納税者の行為と同じ。
→ 逆に言えば、経営に参画していない者であれば、対象外と読める。
○ 平成5年10月12日の裁決から
実質的に経営の主宰者である専務取締役の行為である。
→ 経営の主催者であることが前提となっている。
○ 平成7年12月14日の裁決から
申告と重要な関係がある経理部門の課長が行なった仮装、隠ぺいは
特段の事情がない限り、納税者本人の行為と同じである。
→ ということは、申告と重要な関係がない立場の人は対象外と読める。
→ 特段の事情ということにも触れられている。
○ 平成10年12月2日の裁決から
従業員の私利私欲を目的として行われた仮装、隠ぺいによる過少申告
のような場合はともかくとして、
納税者本人の行為と同じと見るべきである。
→ 逆に言えば、従業員の私利私欲を目的とした仮装、隠ぺいは
対象から外れると読み取れる。
→ 末端の従業員が売上を抜いていたような場合、対象から外れると読み取れる。
○ 平成11年7月1日の裁決から
このような地位にあった従業員が故意に売上を除外した以上、
それが私利私欲のために行なったものでも関係ない。
→ 逆にいえば、経営に参画する立場でない従業員であれば、、
対象から外れると読み取れる。
○ 平成15年12月16日
申告に重要な関係のある相当な権限がある従業員であると認められるから
従業員の行為は納税者の行為と同じである。
→ 逆にいえば、相当な権限がない従業員の不正ならば、
対象から外れると読み取れる。
いかがですか?
正直、社内で不正があった場合、重加算税を免れることは厳しいことが多いです。
なぜならば、それなりの権限を持った人が関わっている場合が多いからです。
ただし、「単なる一従業員」の不正であることもあるのです。
そういう意味では「単なる一従業員」の不正ならば、
上記の裁決を材料にして頑張るべきです。
「結果は100%大丈夫」とは言えませんが、きちんと交渉するべきなのです。
さあ、ここからが本当にお伝えしたいことです。
税務調査の現場で「最終的に大切なこと」は
「【税法を離れた】交渉力、心理作戦」です。
きちんと税法に基づいた交渉をするだけでは足りないのです。
最後は「いかに心理学、交渉術を学んでいるか」ということが重要なのです。
結果はともかくとして、
無理やりでも材料を揃えて、強引にでも交渉することは大切です(重要)。
もちろん、これは今回のテーマに限った話ではありません。
そこまでの交渉をしきれない人が多いですが、
だから意味無く否認されたり、重加算税をかけられたりするのです。
「無理が通れば、道理が引っ込む」
これは私が多くの税務調査を経験してきて、最も感じる部分なのです。
これに限らず、税務調査の様々な交渉ノウハウを知らずに、
税務調査の当日を迎える方が多すぎます。
税務調査は税法に基づきますが、基づきません。
それが税務調査というものなのです。
税務調査のノウハウをお知りになりたい方は
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こうおっしゃっています。
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これは税務調査を受ける会社にとって大変役に立つ内容と思います。
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