国税不服審判所の裁決事例集に載っていない裁決
2010年10月26日 10:17
今日のメルマガは「税務署と争って、国税不服審判所までいき、納税者が勝った事例」です。
今回の争いは節税というよりも税務調査において、法律に明記されていないグレーゾーンをどう判断するのかという部分が論点になりました。
○○さん、朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
先日の10/23ですが、42歳になりました!
まあ、特に感慨もなく、通過点という感じですが(笑)、
ここ10年は人生の中でも重要な期間だと考えています。
これからも厳選した情報を配信しますので、どうぞ、ご覧下さいね。
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では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「国税不服審判所で争った結果は・・・」を解説します。
今日は少し色を変えて、投資用不動産(賃貸用不動産)の話をします。
この話は通常の税務調査にも関係する話です。
また、この話は次回に解説する事業承継の話にもつながりますので、
「自分には関係ない」と思われる方もお読みくださいね。
マンションなどの賃貸用不動産は賃借人がいるため、
駐車場などの更地に比べ、土地所有者の土地に対する権利が制限されます。
そのため、賃貸用不動産の評価は更地に比べ、低くなります。
たとえば、更地(例:駐車場)の評価を100とします。
この土地に賃貸用アパートを建てれば、土地の評価は約80になります。
多くの地主さんが相続税対策のために、
賃貸用アパートなどを建てるのはこのように土地の評価を下げるためです。
ただし、あくまでも「賃貸している」から「権利が制限される」ので、
「評価が下がる」という理屈です。
だから、空室になっている部屋がある場合、
これに対応する土地部分の評価は下がらないことになります。
ただし、賃借人は一定期間ごとに入れ替わるので、
一時的に空室になっていることもあります。
この空室がある状態で相続や贈与があると、どうなるのでしょうか?
これは「一時的な空室であれば評価減OK」となっているので問題ありません。
では、「一時的」とはどの程度の期間を指すのでしょうか?
これに関して、平成11年に発表された情報の中で下記の旨が書かれています。
---------------------------------------------------
賃貸されていない期間が相続などの日の前後1ヶ月程度である【など】、
一時的な期間であること
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税理士が読む専門書にも同様のことが書かれています。
この「1ヶ月程度」をどの程度まで拡大解釈していいのでしょうか?
これに関する国税不服審判所の裁決(平成21年10月13日)
をご紹介しましょう。
この建物は【約9ヶ月間】、空室の状態が続いていました。
そこで、「空室に対応する部分の評価減は駄目」と否認されたのでした。
結果は納税者が勝ったのですが、その理由は
○相続などの日前後だけで、空室期間を判断すべきでない
○どういう状況で空室期間が生じたかも総合的に考えるべき
○賃貸住宅が沢山建っている地域であった
○継続的に不動産業者を通じ、賃借人の募集をしていた
○すぐに賃借人がきまるような状況ではなかった
ということです。
ちなみに、先ほどの平成11年に発表された情報の中では、
こういう旨「も」書かれています。
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賃借人の退去後、速やかに新たな賃借人の募集が行なわれている場合、
一時的な空室にすぎないものは、空室でないとして評価減OK
---------------------------------------------------
この旨も書かれているにも関わらず、
9ヶ月間に渡り、空室であったことを理由に否認されたのです。
そして、国税不服審判所まで争い、結果として納税者が勝ったのです。
ここで覚えておいて頂きたいことは
○法律上、空室期間の明確な定義はない
○11年の資料では下記の2つが書かれている
→退去後すぐに募集し、一時的な空室の場合はOK
→相続などの日の前後1ヶ月程度の空室である【など】一時的な期間ならOK
○結果として、9ヶ月という表面上の数字が原因で否認された
ということです。
これが事実なのです。
当たり前ですが、「税務調査官は否認することが仕事」です。
以前、国税OBの税理士さんと話をしたときも
「いかにグレーを黒にするかが調査官の仕事です」とおっしゃっていました。
逆に、税理士は「グレーをいかに白にするかが仕事」です。
もちろん、グレーのレベルにより、
保守的に判断した方が賢明な場合もあります。
しかし、【経済的な実態、合理性】を考えた場合、
○○さんが「おかしい」と思われれば、十分に争う余地はあるのです。
過去の裁決、判例などを読んでも、
経済的な実態、合理性のあるものは認められています。
だから、積極的な判断をすべきことはすべきなのです。
表面上の形式にとらわれてはいけないことが沢山あるのです。
しかし、世の中で行なわれた判断を見ていると、
必要以上に保守的になっている事例が沢山あります。
これは「余分な」税金を払っているということです。
積極的に判断すべきことは判断し、きちんと節税することが重要なのです。
ここは覚えておいて下さいね。
追伸
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○○さんに必要であれば、ご覧くださいね。
(お客様の声)
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<東京都江東区有限会社フレスコ紺野慎一様>
後の祭りですが、今日のセミナーを受講していれば防げたはずの内容があり、
もっと早くに駆け付けていればと思うと残念です(笑)。
二度と税務調査は御免ですが、そうはいかないでしょうから、
次回調査にしっかりと役立てたいと思います。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人