今回の税制改正により、「欠損金の繰越控除」の制度が変更となりました
2010年12月21日 10:45
先日、来年度の税制改正大綱が発表となりました。
今回の税制改正により「欠損金の繰越控除」が資本金が1億円以上の企業を対象に変更となりました。
そこで、新しい「欠損金の繰越控除」の内容を中心に、今回の税制改正全てに繋がる考え方を今日のメルマガでは解説します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「税制改正への対策」です。
先週、来年度の税制改正の概要(大綱といいます)が発表されました。
この中から「欠損金の繰越控除」を取り上げます。
従来の制度は
○ 欠損金の繰越期間は7年
○ 繰越欠損金は当期の所得の全額と相殺できる
ということでした。
しかし、これが次のように変わります。
○ 欠損金の繰越期間は9年
○ 繰越欠損金は「当期の所得×80%」までしか相殺できない
○ この制度は平成23年4月1日以後に開始する期から適用
ただし、これは一般的な中小企業などには適用されず、
期末時点の資本金額が1億円超の会社にだけ適用されます。
一般的な中小企業は現状の制度が継続されます。
今日はこの制度を「一例」に挙げて解説しますが、
税制改正への対応【全て】に共通する考え方です。
一般的な中小企業の方もご覧下さいね。
先日、これに関して、ある会社(資本金1億円超)の社長さんから
下記のご質問を頂きました。
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うちの顧問税理士から
「税制改正で欠損金が相殺しきれないので、
社長の役員報酬を下げた方が【絶対に】いい」と言われました。
本当にそうした方が【絶対に】いいのでしょうか?
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たとえば、
○ 繰越欠損金が100円
○ 当期の所得が100円
という会社で考えてみましょう。
税制改正の影響を受ければ、
「当期の所得(100円)×80%=80円」までしか相殺できません。
だから、「役員報酬を下げ、100円を相殺できるようにしましょう」
ということです。
逆算すれば、「100円÷80%=125円」となります。
ということは、役員報酬を25円下げれば、
繰越欠損金の全額が当期の所得と相殺できるのです。
ここで、よーく考えてください。
たしかに、今のままでは「100円−80円=20円」に対して
課税されます。
しかし、役員報酬を25下げると
「125円−100円=25円」に対して課税されるのです。
つまり、課税の対象額が5円も増えているのです。
だから、役員報酬を下げてまで、
全額の控除を目指すことは課税の対象額を増やすことなのです。
ただし、金融機関との関係から
「なるべく早めに欠損金を消したい」という場合もあるでしょう。
そういう場合はこの対策もあり得ますが、
「絶対にそうした方がいい」方法ではないのです。
ちなみに、この税制改正の影響を受けずに、
前期の欠損金の全額を相殺する方法もあります。
それは「決算月の変更」です。
あくまでも、この税制改正は
「平成23年4月1日以後に開始する期から適用」となっています。
ということは、平成23年3月31日以前に始まる期ならば、
現在の税制が適用されるのです。
たとえば、現在は3月決算の会社が2月決算に変更すれば、
変更した最初の期は現在の税制が適用されます。
だから、上記の例で言うならば、
繰越欠損金100円の全額が相殺できるのです。
ただし、これに関しても注意点があります。
それは税率の改正です。
今回の税制改正では下記の税率の変更もありました。
○ 30% → 25.5%
○ 18% → 15%(中小企業の所得800万円以下の部分)
ちなみに、この税制改正も
「平成23年4月1日以後に開始する期から適用」となっています。
ということは、2月決算に変更したことにより、
現在の高い税率が適用されるということです。
もちろん、
○ 前期の欠損金・・・100円
○ 当期(2月決算)の所得・・・100円
という前提なら、所得0円なので、税率が上がっても関係ありません。
しかし、思いのほか利益が出てしまったという場合、
ここには改正前の高い税率がかかるので注意が必要です。
いかがですか?
毎年の税制改正に共通することですが、増税も減税もあります。
A社には有利な改正だが、B社には不利な改正ということもあります。
もし、皆さんの会社にとって不利な改正だったら、
○ 決算月の変更を考える
○ 損益が予定とずれた場合のシミュレーションもする
ということが重要です。
繰り返しになりますが、
これは税制改正への対応【全て】に共通する考え方です。
覚えておいてくださいね。
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