税務調査と質問検査権
2011年01月25日 14:10
税務調査は質問検査権という権利によって行われるため、税務調査は質問検査権は切っても切れない関係です。
今日はこの関係を仮説します。
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朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
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「資金効率アップ!中小企業の節税セミナー」を開催します。
詳細は次のメルマガで告知しますので、お待ち下さいね。
では、1分セミナーにいきましょう。
今日は「北村事件を検証してみましょう」です。
北村事件とは、平成4年に京都で行なわれた税務調査(所得税)につき、
その調査方法が違法とされ、国家賠償に至った事件です。
この事件は平成7年3月27日の京都地裁での判決後に控訴となり、
平成10年3月19日の大阪高裁で確定しました。
まずは、具体的な状況をお伝えします。
○平成4年3月30日、税務調査官8名が無予告で訪問
○納税者本人Aは外出中
○Aの子は日を改めて欲しいと要請
○Aの子が強く否定したが、店舗2階の住居部分に上がりこんだ
○Aの母の下着などが入った引き出しをかき回した
○承諾のないまま、1階店舗のレジ現金を調査
○承諾のないまま、机の引き出しを持って2階に上がり、帳簿を調査
なお、これは令状がある強制調査ではないため違法となり、
国家賠償に至ったのです。
ちなみに、強制調査ではない通常の税務調査を「任意調査」といいます。
任意調査においては、「質問検査権」という調査官側の権利に基づいて、
税務調査が行なわれます。
この「任意調査」、「質問検査権」という言葉を覚えておいて下さいね。
この判決の論点となったのが、「任意調査での質問検査権」です。
今回の大阪高裁の判決では
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質問検査権には応じる義務があるという前提があるが、
敢えて応じない場合にはそれ以上直接的物理的に強制し得ない
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という旨が書かれています。
また、所得税法には「必要があるとき」は質問検査権を行使できる
と書いてあります。
では、「この必要があるとき」はどう解釈すべきなのでしょうか?
これは意見が分かれている部分ではありますが、
納税者にとって有利な根拠として、次のようなものがあります。
以下、原文を掲載しますが、少し読みにくいと思いますので、
ゆっくりとお読みください。
○昭和48年7月10日最高裁
諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合に
調査を行なうことができる
○金子宏※著「租税法」
※東京大学名誉教授、2001年〜2009年税務大学校特別顧問、
現在は東京国税局土地評価審議会会長他を兼任
「必要があるとき」というのは、客観的な必要性が認められるという
意味であって、必要性の認定は、租税職員の自由な裁量に
委ねられているわけではない。
だから、質問検査権を行使する場合(=税務調査を行なう場合)、
「客観的な必要性」があるべきで、それは税務調査官が決めるものでもない、
という立場です。
当然ですが、「客観的な必要性」とは抽象的な概念です。
だから、税務調査官も「これは客観的に必要です」と【根拠付きで】
言い切れることは少ないでしょう。
ここがポイントです。
もちろん、これと逆の意見もあります。
ただし、みなさんが知っておくべきことは
「納税者が税務調査の過程、交渉を有利に進めるための知識」です。
当然ですが、税務調査官が全ての判決などを知っている訳ではありません。
だから、こちらは納税者有利の情報として、
この2つを覚えておくべきなのです。
そして、「そこまでは調べられる必要がない」と思われたら、
この2つを提示し、きちんと交渉してください。
ちなみに、平成23年度の税制改正大綱(税制改正の概要)では
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税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うことを
法律上明確化します。(中略)
一定の場合には事前通知を行わないこととします。
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と書いてあります。
まだ法案通過前のため、実際の運用は不明確ですが、
事前連絡無しの税務調査が無くなるわけではありません。
また、事前連絡の有無に関わらず、調査官が何かを見せてもらう場合、
質問検査権という権利に基づいた行為となります。
そして、その質問検査権を行使するならば、上記の通り、
客観的な根拠が必要といえるのです。
いかがですか?
私が色々な税務調査の相談をお受けしていると、
○犯罪者のように言われた
→「質問検査権は犯罪捜査のために認められたものではない」
と【法律に】書いてあります。
○ひどい言葉をあびせられた
というものが沢山あります。
ただ、ご相談にいらっしゃる方はその反論の仕方をご存知ないので、
言われるがままになっていることが多いのです。
そういう場面で、今日の話を根拠として反論して欲しいのです。
今回の内容は非常に重要なので、覚えておいて下さいね。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人