税務調査官がミスしたら・・・。
2011年02月08日 09:31
税務調査官も人間ですから、ミスをすることがありますが、それは今後の処理に大きな影響を与えます。そこで、今回のメルマガでは「税務調査官のミス」について、解説していきます。
4時起きの税理士見田村です。
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今回は「税務調査官がミスをしたら?」をお伝えします。
税務調査官も人間なので、時にはミス(誤指導)をすることがあります。
この場合、税務調査後は誤指導に基づいた処理を行なうので、
間違った処理を何期も継続することになります。
そして、次回の税務調査でその間違いが指摘された場合、
どうなるのでしょうか?
確かに、間違った処理ではありますが、
それは前回の税務調査で「OK」とされたことなのです・・・。
これに関して、参考となる国税不服審判所の裁決(平成15年2月20日)
があります。
<前提条件>
○砕石業を営む法人の事例
○砕石の災害防止に関する積立金を支払い、保険料として処理
○前回の税務調査では指摘されたので、監督官庁の通商産業省に確認
○税務調査官から「保険料でOK」と回答を得た
○その次の税務調査で否認され、過少申告加算税も課された
当然ですが、納税者は納得できず、
「本税も過少申告加算税も認められない」として争いになったのです。
ちなみに、この争いの中で税務署は
「前回の税務調査における指導の有無は確認できない」と主張しています。
そして、国税不服審判所は
○保険料は経費にできない(=本税は支払いなさい)
○過少申告加算税は課さない
と判断したのです。
税務調査官の指導ミスによる処理を継続した訳ですから、
過少申告加算税はあんまりですよね・・・。
だから、過少申告加算税は課さないと判断されたのです。
この根拠は国税通則法65条に
「【正当な理由】がある場合には過少申告加算税を課さない」
と書いてあるからです。
だから、国税不服審判所も
○過少申告加算税は納税義務の不履行に対する制裁
○【正当な理由】がある場合とは、
過少申告加算税を課すことが不当、または、酷な場合をいう
○前回の税務調査官は処理の是非は検討したが、OKとしたと推察される
ということで、「【正当な理由】あり」としたのです。
もちろん、税務調査官の誤指導はこの事例だけではありません。
毎年、多くの税務調査が行なわれるわけですから、
その中には気付かない誤指導もあることでしょう。
私自身も税務調査官のミスを目の当たりにしたことがあります。
だからこそ、あなたは覚えておいてください。
税務調査官のミスにより「OK」とされたことが、
次回の税務調査で否認されることはよくあるということを。
しかし、その場合は過少申告加算税はかからないということを。
もう少しすると、税務調査が多くなる時期です。
もし、同様のことがあなたの会社で起こったならば、
きちんと主張してくださいね。
その際には、
○国税通則法65条
○国税不服審判所の裁決(平成15年2月20日)
→顧問税理士さんに調べてもらってください。
を提示してください。
ちなみに、「前回の税務調査で指摘すらされなかったからOK」
と思っていらっしゃる方がいますが、これは間違いです。
これは単に発見されなかっただけで、
次回の税務調査では否認される可能性はあります。
この話と今日の裁決の話は違う話なので、
誤解されないようにしてくださいね。
それから、話が少し変わりますが、
国税庁は過少申告加算税に関する事務運営指針(平成12年7月3日)
を出していて、こう書かれています。
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下記の場合には、【正当な理由】があるとして取り扱う。
税法の解釈に関し、申告書提出後に新たに法律の解釈が明確化されたため、
その解釈と法人の処理が異なることになった場合、
その処理について相当の理由があると認められること。
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グレーゾーンの内容に関して、
後付けで税法が明確化されることはよくあります。
結果として、明確化される前の処理は間違っているのですが、
これは「【正当な理由」あり」となり、過少申告加算税はかからないのです。
併せて、覚えておいて下さいね。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人