赤字会社の節税対策として役員報酬の設定額を下げる際の注意点
2011年02月15日 09:44
節税対策は黒字の会社だけではなく、赤字の会社でもできることがあります。
赤字会社の節税対策の一つに、役員報酬を下げるということを挙げられますが、この際の役員報酬の設定額には注意をしなくてはいけません。
本日のメルマガでは、平成23年度の税制改正の内容を踏まえ、赤字会社の節税対策としての役員報酬の設定についての注意点を解説致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
今日は最初に相続税の話をします。
平成23年度の税制改正で相続税の改正が予定されており、
改正後は相続税の課税対象になる方が増えることになります。
そこで、相続税に関するノウハウを提供するために、
新たに相続税専門のブログを立ち上げました。
どうぞ、ご覧下さいね。
第1回目の記事は「相続税の納税資金を効率よく確保する方法」です。
http://ameblo.jp/souzokuzei/entry-10796379661.html
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「赤字会社の節税対策」についてです。
赤字会社の節税対策というと奇妙な感じがしますが、
実は考えるべきことがあるのです。
リーマン・ショックにより、
大きな赤字(欠損金)を抱えた会社は沢山あります。
これを消すことを考える場合に、
1つだけ検討して欲しいことがあるのです。
過去の繰越欠損金を消すためには、
○ 売上を上げる
○ 経費を削減する
とすればいいのですが、そう簡単にいかないこともあります。
そうなると、1つの方法として、
○ 役員報酬を下げる(または、0にする)
○ 役員は会社に貸したお金を返してもらい生活する
ということが考えられます。
ただし、この対策をする場合、役員報酬の設定額に注意して欲しいのです。
場合によっては、損をしているかもしれないのです。
計算過程も書いているので、【ゆっくり】読んでくださいね。
具体的に計算してみましょう。
平成23年度の税制改正で中小企業の税率(法人税)は
○ 所得800万円以下の部分・・・15%(現在18%)
○ 所得800万円超の部分・・・25.5%(現在30%)
という改正が予定されています。
また、繰越欠損金の期限は9年間(現在は7年間)
という改正も予定されています。
この前提で同じ状況のA社とB社を比較してみましょう。
なお、分かりやすくするために、少し極端な例とします。
A社、B社とも
○ 前期の欠損金額は9,000万円
○ 当期以降の黒字額は1億円
とします。
<A社>
○ 繰越欠損金を消すために、当期の役員報酬9,000万円を0にした
○ 繰越欠損金9,000万円は当期に消えた
○ 当期の課税対象額は「1億円−9,000万円=1,000万円」
→ 当期の法人税は以下の通り
800万円×15%=120万円
(1,000万円−800万円)×25.5%=51万円
合計 171万円
○ 翌期以降8年間は役員報酬を9,000万円に戻した
→ 法人の課税対象額は「1億円−9,000万円=1,000万円」
→ 翌期以降の法人税(単年)は以下の通り
800万円×15%=120万円
(1,000万円−800万円)×25.5%=51万円
合計 171万円 → 171万円×8年間=1,368万円
○ 9年間の法人税は「171万円+1,368万円=1,539万円」
<B社>
○ 繰越欠損金を9年間で消すため、役員報酬を9,000万円のままにした
→ 法人の利益は「1億円−9,000万円=1,000万円」
→ 当期以降9年間の課税対象額は0円
○ 繰越欠損金9,000万円は9年間で消えた
○ 9年間の法人税は0円
では、A社とB社の9年間の納税※を個人も含めて比較してみましょう。
※ 実際には法人の住民税などもかかりますが、割愛します。
<A社>
○ 法人 1,539万円
○ 個人 9,000万円×8年×50%=3.6億円
→ 個人の8年間の年収は7.2億円
○ 合計・・・【3.7539億円】
<B社>
○ 法人・・・0円
○ 個人・・・9,000万円×9年×50%=4.05億円
→ 個人の9年間の年収は8.1億円
○ 合計・・・【4.05億円】
A社とB社の業績は同じですが、
○ A社・・・欠損金が「1年で」消えるように役員報酬を設定した
○ B社・・・欠損金が「複数年で」消えるように役員報酬を設定した
という違いがあるだけです。
しかし、その結果としての納税額には差額が出てくるのです。
これは
○ 所得を個人と法人にどう振り分けるか?
○ 個人の税率、法人の税率はどちらか高いのか?
という状況によっても変わってきます。
だから、繰越欠損金がある場合、
当期以降の役員報酬をどう設定するかということは大きな問題なのです。
今回は「法人の税率<個人の税率」という前提なので、
「A社の納税額<B社の納税額」となりました。
A社の繰越欠損金も一気に消えています。
しかし、一気に欠損金を消さない役員報酬にした方が
得な場合もあるのです。
もちろん、銀行に決算書を出さなければならない会社は
できるだけ早く欠損金を消したいという場合もあるでしょう。
これは会社の状況により変わるので、
事前にシミュレーションなどをして決定しなければなりません。
しかし、一般論ではありますが、
○ 役員報酬を大きく下げる(または、0にする)
○ 役員は会社に貸したお金を返してもらい生活する
という方法を決断できないこともあります。
しかし、「役員報酬を下げない=実は損をしている」
となっているかもしれないのです。
今日の話は単純な話ですが、
よくある話であり、実は奥が深い話でもあります。
いかがですか?
このように赤字になった会社でも考えるべき節税はあるのです。
特に、今日の内容は
○ 本業は好調なのに金融投資で失敗した会社
○ 一時的に落ち込んだが、回復をした会社
は検討すべきテーマです。
皆さんの会社がこれに該当するならば、
役員報酬の設定をもう1度考えてみてくださいね。
節税は知識ではなく、
「知識をどう使うかという知恵」にかかっています。
是非、「絶対節税の裏技77」で
知恵をしっかりと身に付けて頂ければと思います。
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