税務調査と過少申告加算税
2011年02月28日 12:37
税務調査があり、過少申告加算税がかかることがありますが、この過少申告加算税がひっくりかえされ、納税者が勝った事例があります。
今日のメルマガでは、従業員の不正が税務調査で発見された場合、その不正に伴う収益、損害賠償請求権をいつ収益計上すべきかについて争った事例をご紹介します。
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朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「従業員が商品を横流ししたら・・・」をお伝えします。
今日の話は平成21年に国税不服審判所が下した裁決で、
非常に興味深いものです。
どんな会社でも起こりうる話なので、しっかりと読んで下さいね。
また、あなたのご友人の会社で起こったら、教えてあげて下さいね。
まずは、この裁決の前提条件、税務署の主張、納税者の主張を記載します。
(1)前提条件
○納税者は印刷業を営んでいるA社
○従業員B(課長)が余剰紙を搾取し、得意先に売却
○架空の会社名義で納品書、請求書、領収証を作成
○Bは売却代金を現金にて回収し、ゴルフ代などに使った
○この事実が税務調査(平成20年2月)にて発覚
→税務調査で否認されたのは、平成16年7月期〜平成19年7月期
○A社はBから損害賠償金をもらい、懲戒解雇
○争点はこの売却収入が平成16年7月期〜平成19年7月期の売上か?
(2)税務署の主張
○余剰紙の所有権は売却されるまではA社にあった
○余剰紙の管理はA社がしていた
○余剰紙はBの指示により、A社から納品された
○この取引の納品書はA社のFAXを利用して送信されていた
○購入した得意先はA社との正常な取引と認識していた
○A社はBから売却代金の一部として、損害賠償金を回収
(3)納税者(A社)の主張
○この取引について、A社は一切の関与をしていない
○この取引はBが自分のために行なった行為で、A社の売上ではない
○A社が収益とすべきなのは、Bに対する損害賠償請求権
○この損害賠償請求権はその事実が発覚した事業年度の収益である
→平成20年7月期の収益である
これらの主張に対して、国税不服審判所は次の判断を下し、
A社の主張が【全面的に】認められました。
○この売上がA社の売上かどうかは下記などを総合判断して決めるべき
・取引を行った従業員の地位、権限
→BはA社の経営に従事する立場にはなかった
→A社はBに印刷用紙の管理業務に関する権限を与えていない
→Bには余剰紙を自分の判断で売却する権限がなかった
・取引の態様
この取引はBがA社から窃取した余剰紙を、架空名義を使用して売却した
・A社の事業内容
→A社は定款などで印刷の請負、製本紙器の製作等を目的としている
→A社は定款などで印刷用紙の販売を目的としていない
→今回の余剰紙以外の印刷用紙が他社に販売された事実はない
・取引の相手方の認識など
→購入した得意先は正常な取引と認識していた
○税務署の主張には【いずれも】理由がない
○損害賠償請求権も平成16年7月期〜平成19年7月期の収益ではない
結果として、A社が【全面的に】勝ったのです。
不況の影響もあり、こういう不正をたまに聞くことがあります。
これはどんな会社でも起こる可能性がありますが、普段は気付きません。
実際、A社でも税務調査がきっかけで発覚したのです。
商品の業務フローに改善点があれば、早めに解決しておくべきなのです。
それから、話は少し変わりますが、税務調査において
「その収益はどの時点で計上すべきか?」が論点になることもあります。
今回の例でいえば、
「損害賠償請求権をいつの時点で計上すべきか?」ということです。
これに関し、国税不服審判所はこう判断しています。
少し読みにくく、抽象的な表現もありますがが、
重要な部分なので、敢えて原文に近い表現を残します。
○収益はその権利が確定した期に計上すべき
○権利の確定とは、権利の「発生」とは同一ではない
→権利の確定とは、権利の「発生」後に権利の実現可能性を
客観的に認識できるようになること
○損害賠償請求権には権利行使をすぐにできない場合がある
→例:加害者を知ることが困難なため、内容を把握することが困難なため
○損害賠償請求権が法的には「発生」していると言えても、
この時点では権利の実現可能性を客観的に認識することができない
○不法行為が行われた期の収益に計上すべきとはいえない
ただし、こうも追記しています。
○税負担の公平や法的安定性の観点から考えて、客観的にされるべき
○一般的な事例を基準にし、損害賠償請求権の客観性を判断をすべき
これらは抽象的な表現になりますが、覚えておいてくださいね。
世の中では、
「損害賠償請求権が不法行為が行われた期の収益として否認されている」
というケースがあることも事実です。
実際、先日、単発のご相談でいらっしゃったお客様も正にそうでした。
重加算税までかけられたとおっしゃっていました。
「私なら絶対にひっくり返せた」という内容だったので、
非常に歯がゆい思いをしました。
しかし、今となっては「後の祭り」です。
そんな否認事例は世の中に沢山あるでしょう。
だから、あなたは今日の内容を覚えておいてください。
もちろん、この話は「外部に対する損害賠償請求権」についても
同じことがいえます。
不況の影響もあり、商品の横流しなどの話もたまに聞きます。
もし、あなたの会社に税務調査があり、
損害賠償請求権を否認されたら、この内容を主張してください。
春は税務調査が多い季節です。
この事例を知っていれば、否認されずに済む場合もあるでしょう。
金額が大きくなることも多い内容なので、しっかりと覚えておいて下さいね。
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