決算賞与の要件に関するポイント
2011年03月08日 08:15
節税のために決算賞与を支払うことがありますが、意外な盲点から決算賞与が否認された事例を今回のメルマガでご紹介します。
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ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介頂ければ、幸いです。
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朝4時起きの税理士見田村です。
いつもありがとうございます。
いよいよ花粉症の季節ですね(涙)。
今年は例年よりも飛散量がかなり多いとのことなので、
鼻の粘膜をレーザーで焼く手術をしました。
私は花粉症になってから30年ほど経ちますが、
毎年、この季節は厳しいですね。
集中できないこともありますが、頑張ってメルマガを書きます。
後1ヶ月の我慢ですね!
まあ、それはさておき(笑)、本題の前にお知らせです。
2/10に開催した「資金効率アップ!中小企業の節税セミナー」ですが、
定員のためにご参加頂けなかった方もいます。
そこで、3/25(金)に再度、開催することにしました。
講師は当社のホープ、藤井泰之です。
また、懇親会もあり、
これには私(見田村)も参加しますので、お得な企画となっています。
セミナー、懇親会を通じて、色々とご相談頂ければと思います。
前回は24時間で定員となりましたので、お早めにご検討ください。
http://www.success-idea.com/523011/index.pdf
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「その給料は経費になりますか?」を解説します。
これは以前にご相談頂いた実例です。
まずは、前提条件をお話しします。
○ある同族会社の社長が他界
○社長が100%の株式を保有
○相続人は兄(専務取締役)と弟(取締役営業部長)
○社長の死亡保険金1億円が会社に支払われた
○役員退職金の適正額7,000万円を相続人に支払った
○株式に関する遺産分割が3年まとまらなかった
この状態だったので、通常の利益のほか、
「1億円−7,000万円=3,000万円」が上乗せされます。
そこで、この会社は「こんなに税金がかかっては大変だ」ということで、
従業員に決算賞与を出したのです。
もちろん、兄(専務)は役員賞与になるので、もらいませんでした。
しかし、弟(取締役営業部長)は他の営業部長と同じ基準でもらいました。
この弟がもらった決算賞与が税務調査で否認されたのです。
通常であれば、取締役兼従業員は賞与をもらっても経費にできます。
しかし、この場合は違ったのです。
さあ、何が原因だったのでしょうか?
答は株式に関する遺産分割が終わっていないからです。
民法898条、899条にはこう書いてあります。
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○相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
○各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
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だから、株式に関する遺産分割が終わっていない状態では、
「兄が50%の保有、弟が50%の保有」と考えるのです。
だから、弟は【遺産分割が終わっていない状態では】
○形式上・・・取締役営業部長
○税務上・・・取締役※
となり、「弟に支払った決算賞与=役員賞与」となってしまうのです。
※一般的な同族会社の場合、
株式を5%超保有している取締役兼従業員は取締役と扱われます。
ここは顧問税理士も盲点だったようです・・・。
この事例は3年争った事例ですが、争わなくても同じ状況は起こります。
なぜならば、遺産分割でもめないとしても、
遺産分割がまとまるまでの期間は同じ状況だからです。
だから、多くの同族会社で注意すべきポイントなので、
覚えておいて下さいね。
ちなみに、民法909条にはこうも書いてあります。
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遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
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つまり、遺産分割の効果は相続開始日に遡るということです。
だから、この事例で弟が1株も相続しなかったならば、
「弟は取締役営業部長のままだったので、賞与は経費になる」
とも考えられます。
これに対して、国税庁は下記のコメントを出しています。
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民法第900条では遺産分割に遡及効を認めていますが、
この規定自体、遡及的に共有状態の存在の事実までも否定するものでは
ありませんので、現実の分割が相続分と異なったとしても、
後日、その持株割合を修正する必要はないと考えられます。
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もちろん、「考えられます」となっているし、
これが法律として定められている訳でもありません。
ただし、この情報を知っているなら、
○社長が他界し、遺産分割が終わっていない
○相続人の中に取締役兼従業員がいる
○取締役兼従業員(相続人)に従業員としての賞与を支払う
→決算賞与だけでなく、夏冬の賞与も同じ
という場合には注意する必要があります。
これを回避するためには、
○今回は取締役兼従業員(相続人)には賞与を払わない
○株式に関する遺産分割だけを先に終わらせ、賞与を払う
→その他の財産の遺産分割は後日に行なう
という方法が考えられます。
いかがですか?
今回の内容は多くの会社で起こる可能性がある問題ですが、
意外と盲点になる部分です。
よーく覚えておいて下さいね。
それから、1点だけ話を付け加えます。
この会社もそうでしたが、
「死亡保険金の額>適正な役員退職金の額」という場合があります。
また、死亡保険金を過大な役員退職金で相殺しようとし、
否認された事例は沢山あります。
「法人税を払いたくない」という気持ちは分かりますが、
これはリスクが大きすぎます。
実際、過去の多くの判例でも
「死亡保険金の額と役員退職金の額は関係ない」と否認されています。
「今、社長が他界したら、いくらの保険金が支払われるのか?」
「今の役員退職金の適正額はいくらなのか?」
こういうことも併せて考えておかなければならないのです。
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投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人