借金をして不動産を購入すると相続税、事業承継対策になるということの真実
2011年05月31日 10:16
借金をして不動産を購入すると、相続対策や事業承継対策になるという話をよく聞きますが、本当なのでしょうか。
今日のメルマガでは、個人の相続対策と法人の相続対策の具体例をみながら、借金をして不動産を購入すると、本当に相続対策や事業承継対策になるのかを解説致します。
--------------------------------------------------------------------
<ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介頂ければ、幸いです。>
http://www.success-idea.com/magazine/
<顧問契約、相続税のご相談、単発のご相談のお問合せは>
本社:03−3539−3047(平日9:00〜19:00)
横浜支店:045−440−6087(平日9:00〜18:00)
http://www.77setsuzei.com/form/consul/index.html (24時間受付)
--------------------------------------------------------------------
朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今日は「相続、事業承継、不動産の購入、借金」です。
今日は数字を沢山使いますが、
重要な内容なので、ゆっくりとお読みくださいね。
「借金して不動産を購入すると、相続対策になる」
「借金して不動産を購入すると、株価が下がり、事業承継対策になる」
こんな話を聞いたことがありませんか?
個人と法人で取扱いが少しだけ違う部分がありますので、
個人の相続対策を前提にお話し、最後に法人のフォローをします。
まずは、具体例で解説しましょう。
○ 借金2億円で2億円の賃貸物件を購入
→ 建物は1億円で新築、土地は1億円で購入と仮定
○ 賃貸された建物は「固定資産税評価額×70%」で評価
→ 固定資産税評価額は「建築価額×50〜60%程度」
→ 評価額は「1億円×50%×70%=3,500万円」
○ 賃貸建物が乗っている土地は「路線価×約80%」で評価
→ 路線価は「時価×80%」
→ 評価額は「1億円×80%×80%=6,400万円」
○ 建物、土地の評価額の合計額
3,500万+6,400万円=9,900万円(=約1億円)
結果として、2億円で購入した土地建物であっても、
相続税を計算する上での評価額は1億円になるのです。
しかし、借金は2億円あるので、
「資産1億円−借金2億円=▲1億円」という純資産の圧縮ができるのです。
仮に、賃貸物件を取得する前の資産は預金2億円のみとします(純資産2億円)。
そうすると、賃貸物件を建てた後の資産状況は下記となります。
(資産)預金2億円+土地建物1億円=3億円
(負債)借金2億円
(純資産)資産3億円−負債2億円=【1億円】
結果として、2億円の評価が1億円になったので、
「借金で賃貸物件を購入すると相続税対策になる」ということです。
しかし、よく考えて欲しいのです。
この話は合っている部分と間違っている部分があるのです。
それは借金ではなく、
手持ちの預金で賃貸物件を購入しても「効果は【全く】同じ」ということです。
実際に計算してみましょう。
土地建物の購入資金は手持ちの預金2億円を使ったので、
預金の残高は0円です。
そして、土地建物の評価はどのお金で建てても変わらないので1億円です。
そうすると、賃貸物件を建てた後の資産状況は下記となります。
(資産)預金0円+土地建物1億円=1億円
(負債)借金0円
(純資産)資産1億円ー負債0円=【1億円】
結果として、借金して賃貸物件を建てても、
手持ち預金で賃貸物件を建てても、その効果は【1円も変わらない】のです。
ちなみに、借金で購入した場合の資産状況はこうでした(上記と同じ)。
(資産)預金2億円+土地建物1億円=3億円
(負債)借金2億円
(純資産)資産3億円−負債2億円=【1億円】
ただし、厳密にいうと、銀行に支払う利息があるので、
「銀行の利息分だけ財産が増えない」となっています。
だから、手持ちの預金があるのに敢えて借金で賃貸物件を購入することは、
「財産が増えないから、相続税対策になっている」
という本末転倒なことになっているのです。
つまり、「預金と借金の両建ては意味がない」のです。
今回はわかりやすいように預金を全て使い切る例にしましたが、
実際にはある程度の預金を残すことになります。
だから、預金と借金のバランスが大切ということです。
しかし、世の中には預金と借金が【意味の無い両建て】になっており、
財産が増えないという意味での相続税対策になっている方も本当に多いのです。
意味の無い借金は早く返した方がいいのです。
さあ、ここから法人のフォローをします。
上記の方法を事業承継に伴う株価対策で採用することがありますが、
この場合に注意することがあります。
それは【法人の場合は】
「株式の相続、贈与の日から3年以内に購入した土地建物は【時価】で評価」
ということです。
上記の計算例では固定資産税評価額、路線価をベースに計算したので、
資産の評価額をかなり圧縮することができました。
しかし、ここが時価となるので、
資産の評価額はもっと高くなる可能性があるのです。
もちろん、「3年以内」という規定なので、
3年を超えれば、個人の場合と同じ考え方になります。
だから、「この方法で株価を圧縮した上で株式を贈与したい」
とお考えなら、3年待つ必要があるのです。
もちろん、「時価<評価額」となる可能性もあるので、
一概には言いきれませんが、大半の場合はこの理屈が成り立ちます。
いかがでしょうか?
「借金=相続対策」と勘違いされている方は
【本当に】沢山いらっしゃいます。
しかし、その対策は【本当の意味での相続対策】には
なっていないかもしれません。
しかし、建築会社の営業マンも銀行員もこのことを知らず、
提案してくれない、提案が間違っていることもよくあります。
もし、皆さんが相続対策、事業承継対策の中で
この方法をお考えなら、今日の内容は必ず覚えておいてくださいね。
それから、話は変わりますが、
「知識が無いから提案してくれない、提案が間違っている」
ということでは、こんなものもあります。
賃貸建物の建築主を
○ 土地の所有者である個人(例:父)
○ 同族会社
のいずれにするかで相続税対策の効果が【大きく】変わるということです。
しかし、この選択の提案がされないことも【よく】あります。
今回は長くなるので止めておきますが、
この話もどこかの機会で解説したいと思います。
---------------------------------------------------
(株)日本中央会計事務所・日本中央税理士法人
代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
(本社)
東京都港区西新橋2丁目6−2 ザイマックス西新橋ビル3F
電話:03−3539−3047
(横浜支店)
神奈川県横浜市西区高島2−19−12横浜スカイビル20階
電話:045−440−6087
○顧問契約、単発のご相談のお問合せは
http://www.77setsuzei.com/form/consul/index.html
○節税、税務調査のノウハウ(動画あり)
http://www.success-idea.com/zeimu/
---------------------------------------------------
●ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介ください。
→ http://www.success-idea.com/magazine/
●恵まれない方のために
みなさんが1クリックすると
協賛企業が慈善団体に寄付してくれます(1クリック=1円)。
今、自分がここにいられることに感謝し、1日1回クリックしませんか。
私も毎日、ワンクリックしています。 http://www.dff.jp/
●本メールマガジンは専門的な内容を分かりやすくするため、
敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。
お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。
また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、
ご注意ください。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人