税理士が作成した議事録は有効なのか?
2012年01月17日 10:16
中小企業の多くは、株主総会を開催せずに税理士が作成した株主総会議事録を保管しているのが現状だと思います。
実際に税務調査が行われた際に、この税理士が作成した議事録は有効なのかどうかを今日のメルマガでは解説致します。
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では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「税理士が作った議事録は有効か?」です。
多くの中小企業では株主総会は実際には行われず、
税理士などが作成した株主総会議事録だけが存在しているのが現実です。
では、税務調査があった場合、
こういう議事録はどこまで有効なのでしょうか?
これについて国税不服審判所で争われた事例(平成5年4月19日)
をご紹介します。
この事例は税理士が作成した議事録で決議した役員報酬の限度額を超えて、
会社が役員報酬を支給していました。
この超える部分が過大役員報酬として否認されたのですが、
根拠となったのが議事録だったのです。
ちなみに、
○ 最初に税務調査官に見せた議事録
→ この議事録に記載された限度額 < 実際の役員報酬の総額
→ 2,000万円 < 2,760万円(3名分)
○ 後から税務調査官に出し直した議事録
→ この議事録に記載された限度額 > 実際の役員報酬の総額
→ 3,000万円 > 2,760万円(3名分)
という後出しじゃんけんのような状況になっています。
なお、最初に税務調査官が会社の金庫を調べた際、
金庫は整理整頓されており、最初に見せた議事録しかありませんでした。
<納税者、税理士の主張>
○ 実際に株主総会は開催されておらず、議事録は形式的な書類
→ 株主総会の決議というものは存在しない
→ 役員報酬が過大かどうかは議事録で判断すべきでない
→ 役員報酬が過大かどうかは実際の職務内容で判断すべき
○ 議事録が根拠になるとしても、後で見せた議事録が正しい
→ 最初に見せた議事録には誤りがあり、納税者の認識と不一致
→ 後で見せた議事録が根拠ならば、過大額はない
→ この議事録は調査時にはどこにあるかが分からなかった
<税務署の主張>
○ 後から見せた議事録は指摘後に作り直したものなので駄目
○ 職務内容から考えて過大かどうかの判断をするまでもない
→ 議事録に記載された限度額が過大額の根拠となる
そして、国税不服審判所は下記の判断をし、
税務署側の主張を認めました。
○ 納税者が税理士に議事録の作成を依頼している
○ 税理士は議事録の作成に当たり、下記のことを社長に確認している
→ 決算書の承認の有無、役員報酬の変更の有無、変更がある場合の金額
○ 税理士は議事録を社長、社長の妻(取締役)に直接渡している
○ 議事録を各役員で回覧し、押印している
○ 実質的に株主総会が開催され、決議が行われたのと同じ
→ 実際の株主総会が行なわれなかったとしても関係ない
正直なところ、かなり分が悪い勝負ではありますね・・・。
ただ、それはそれとして、
この事例から覚えておいて頂きたいことをお話しします。
○ 税務調査前に重要な議事録などは再チェックする
重要な書類は事前に会社と税理士でチェックしておくべきです。
○ 役員報酬の総額を決める場合、ギリギリの額にしない
この事例でも、そもそも議事録の額を5,000万円などにしておけば、
争うことも否認されることもありませんでした。
○ 役員報酬を改定する場合は役員報酬の総額を決議した議事録と比較
特に、税理士を変更した場合など、
前の税理士が作成した議事録を確認する必要があります。
◎ 役員報酬を改定する場合は【常に】役員報酬の総額も決議する
こうしておけば、過去に決議した総額が問題になることはありません。
ただ、そもそも論ですが、
この会社はなぜ金庫を見せてしまったのでしょうか?
おそらく「金庫を見せてください」と言われたので、
見せたものと推察されます。
そして、保存してある議事録が出てきてしまったという状況かと思います。
ただし、一般的な税務調査は質問検査権という権利に基づいて
行われるものです。
この質問検査権は法人税法で
○ 「必要があるとき」に行使できる
○ 犯罪捜査のために認められたものではない
とされています。
だから、税務調査に必要な書類を伝えてもらい、
それのみを提示するべきだったのです。
「○○をチェックしたいから、□□を見たい」というのが
税務上の「必要があるとき」です。
今回の事例であれば、
調査官「役員報酬をチェックしたいので、議事録を見せてください」
納税者「では、議事録をお持ちしますので、そこでお待ちください」
というのが、あるべきやり取りです。
何でもかんでも見せなければならないわけではないのです。
この認識が無く、調査官に「見ていいですか?」と聞かれ、
「はい、どうぞ」と何でも見せているケースは【非常に】多いですね。
繰り返しにはなりますが、あくまでも質問検査権は
○ 「必要があるとき」に行使できる
○ 犯罪捜査のために認められたものではない
と法人税法で規定されているのです。
ここは非常に重要な部分ではありますが、
税務調査官にイニシアチブを取られてしまっていることがよくあります。
覚えておいてくださいね。
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■編集後記
今日は午前0時30分に起きてしまいました(笑)。
そして、3時間30分ほど仕事をしてから出かけましたが、
まだまだ寒いですね〜(寒)。
来週は北の方に出張なので、もっと寒いですかね・・・。
温泉街なので、温泉で温まってきます(ホッ)。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人