非上場の事業承継にて株式を売買する場合の注意点(原則計算、特例計算)
2012年03月27日 09:33
会社が分散している株主をまとめるために非上場株式の株価計算に原則計算ではなく、安い金額になる特例計算を用いる場合は注意が必要です。
なぜなら、「みなし譲渡課税」、「みなし配当課税」、「みなし贈与課税」というトリプル課税が課せられてしまうからです。
今日のメルマガでは、非上場の事業承継に関して、株式の売買をする場合の注意点を解説致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
いよいよ税務調査が本格化する時期となり、
当社にも随時、税務署から連絡が入っています。
正直なところ、税理士の知識、性格、スタンスにより、
税務調査の結果は【確実に】変わります。
だからこそ、この時期は私にセカンドオピニオンを求めて、
いらっしゃるお客様も多いのですが、こんなことをよくお聞きします。
「もっと早くDVDを見ておけば良かったです」
「52,500円という値段に二の足を踏み、失敗しました」
そもそも、なぜ私がこのDVDを作ったかというと、
顧問税理士が税務調査に弱くても、交渉する知識が無くても、
会社が自己責任の中で自分を守る方法、知識を伝えたかったからです。
国税OB税理士が顧問税理士の場合、
「ドンドン納税すべきで、節税なんてするものではない」
と言われる場合もあります。
こういう場合、会社に有利な交渉はしてくれませんね・・・。
「顧問税理士は変えられない、しかし、税務調査は不安だ」
という会社も沢山あります。
そういう会社のために、このDVDを作ったのです。
重加算税がかからないのに、かけられている会社は【沢山】あります。
法律の範囲を逸脱した税務調査をそのまま受け入れている場合もあります。
皆さんが顧問税理士の力量に関わらず、
本当の意味でご自身の会社を守りたいなら、このDVDをご覧ください。
「『重加算税です』と言われたが、DVDの解説資料を見せたら、
あっさり重加算税はなくなりました」
などのお声もよく頂く自信作です。
税理士も含めて、多くのお客様の声を掲載しておりますので、
是非、下記をご覧頂ければと思います。
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では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「トリプル課税のリスクとは?」をお伝えします。
先日、ある社長から事業承継に関する単発のご相談を頂きました。
ちなみに、この社長は顧問税理士以外に
3人の税理士のセカンドオピニオンを聞いたそうです。
その中に1人だけ違う意見を言う人がいたので、
心配になって、私に相談があったのです。
ちなみに、その1人と私は同じ意見で、それが正解だったので、
そういう意味ではセカンドオピニオンも1つでは怖いですね・・・。
まずは、前提条件です。
○ 株主(個人)が複数名に分散し、これをまとめたいと考えている
○ まとめる方法は会社(発行会社)が購入(=自己株式の購入)
○ 購入金額は特例計算※による安い金額を予定
※ 非上場株式の株価計算には原則計算と特例計算がある
※ 原則計算で計算すると高く、特例計算で計算すると安い
これに関して、株主複数名は第三者が大半なので、
「安い特例計算でOKか?」というご質問でした。
しかし、この考え方は危険です。
なぜならば、【トリプル課税】のリスクを
全く検討していなかったからです。
トリプル課税とはどういうことかを今から解説します。
(1)みなし譲渡課税(売主に対する課税、所得税&住民税)
個人が法人にして「時価×1/2未満」で譲渡した場合、
時価で譲渡したものとして、売主に課税されます。
たとえば、時価が1億円、売買金額が2,000万円の場合、
売主は2,000万円しかもらっていないとしても、
1億円をもらったものとして課税されます。
なお、同族会社の場合、「時価×1/2以上」での譲渡であっても、
時価で譲渡したものとして否認される可能性があります。
(2)みなし配当課税(売主に対する課税、所得税&住民税)
会社が自己株式を購入する場合、
「形式上は売買」でも「税務上は配当」とみなされます※。
※ 株主に相続が発生した場合の一定期間は「税務上も譲渡」でOK
金額にもよりますが、配当であれば、給与などと合算され、
約50%で課税される可能性が高くなります。
当然、この場合も時価が1億円、売買金額が2,000万円ならば、
売主は2,000万円しかもらっていないとしても、
1億円をベースにみなし配当とされる金額が計算されます。
(3)みなし贈与課税(発行会社の既存株主に対する課税、贈与税)
上記(1)(2)の例でいえば、発行会社は
時価1億円の株式を2,000万円で手にいれたことになります。
だから、この売買により8,000万円の含み益が
発生したことになります。
結果として、売主から既存株主に8,000万円の贈与がされた
ことになり、贈与税が課せられるのです。
これらの3つのリスク(トリプル課税)を検討せず、
「安い特例計算でOKです」というアドバイスはあり得ないのです。
実際、下記の東京地裁の判決(平成19年1月31日)があります。
この事例での購入者は発行会社ではなく、
発行会社の代表取締役ですが、考え方は同じです。
この事例では「第三者」の少数株主116名から2年間に渡り、
代表取締役が購入した事例です。
この事例では高い原則計算によるものが時価とされ、
実際の売買金額との差額が(3)のみなし贈与とされました。
なお、この判決は個人から個人への売買であるため、
(1)と(2)の課税はありません。
いかがでしょうか?
非上場の事業承継に関して、株式の売買をする場合がありますが、
「その時価がいくらであるのか?」ということは
買主が法人であれ、個人であれ、非常に慎重に行なうべきなのです。
なぜならば、後日の税務調査時には全てが終わっており、
後戻りはできないからです。
特に、トリプル課税になる場合は
目も当てられない金額になってしまうこともあります。
しかし、「第三者との取引だから安い金額でもOK」と
税理士も勘違いしている場合があり、
全くのノーケアになっていることもあるのです。
実際、上記のご相談にいらっしゃった社長は
私も含めて5人の税理士の相談され、
3人は「安い金額でもOK」と答えていた訳ですから・・・。
これは本当に、本当に、本当に危険なことなのです。
特に、優良会社の場合は株価も高く、
否認された場合の納税額も多額になることがあります。
また、非上場の株式の評価は売主、買主の状況によっても変わり、
「いくらならOK」とは言いにくいものです。
だから、M&Aで会社を第三者に売却する場合とは違い、
事業承継に関して株式を買い集める場合は慎重に行うべきなのです。
もちろん、買主にとっては安い金額の方がいいに決まっていますし、
売主もそれに合意してくれることもあります。
しかし、税務調査ではそれが認められないこともあるのです。
「後の祭り」にならないように、ご注意くださいね。
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(株)日本中央会計事務所・日本中央税理士法人
代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
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ご注意ください。
■編集後記(見田村)
今日、お客様からご紹介を頂いた新規のお客様の会社に訪問してきます。
ご紹介を頂くことは現場のスタッフが評価されてのことなので、
非常に嬉しく思いますね。
そのスタッフの質を上げ続けるためにも、
自分自身の質を上げ続けなければなりません。
毎年の税制改正もあるし、税務もドンドン複雑化していますが、
やりがいのある仕事ですね。
今年はより多くのアウトプットをするために、
昨年より多くの実務系のセミナーにも出ています。
色々な厳選情報をお届けしますので、ご期待くださいね。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人