税務調査官からの指摘の対処方法(人件費、固定費、変動費)
2012年05月15日 13:31
税務調査において税務調査官から「これは今期の経費ではなく、仕掛品ですね」と指摘された場合はどのように対処すればよいでしょうか。
法人税法基本通達に「法人が継続して「固定費」と「多額でない変動費」を経費にしているなら、それは今期の経費でOKです」と書かれていますが、この考え方が一番の問題となります。
そこで今回のメルマガでは、元国税、現役国税が書いた本の内容を根拠として提示し、「固定費」と「多額ではない変動費」を経費として認めてもらうための交渉のポイントを解説いたします。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
かなり暖かくなってきましたね〜。
この季節は花粉がやって来るのが終わる代わりに
税務調査官がやってきます(笑)。
まあ、どちらも気分のいいものではありませんね(笑)。
そんな時期なので、今日の1分セミナーは
「税務調査でこんなことを指摘されたら・・・」をお伝えします。
税務調査があり、
「これは今期の経費ではなく、仕掛品ですね(=経費にならない)」
と指摘を受けることがあります。
ちなみに、
○ 製造業であれば、製造原価報告書を作成し、
○ 建設業であれば、完成工事原価報告書を作成し、
材料費、人件費、その他経費を計算し、仕掛品を計上します。
だから、自動的に経費にしてはいけない仕掛品を計上できるのです。
しかし、こういう業種でない場合、
上記のような○○報告書を作成していないことが一般的です。
そうなると、期末時点で未完了の仕事に関連する人件費などを
今期の経費にし、仕掛品としては計上していないこともあります。
そして、これが税務調査で指摘を受けることがあるのです。
しかし、これに関しては下記の法人税法基本通達があります。
敢えて、一部を編集した原文を載せますが、
お読みください。
簡単に言えば、
「法人が継続して「固定費」と「多額でない変動費」を経費にしているなら、
それは今期の経費でOKです」ということです。
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(技術役務の提供に係る報酬に対応する原価の額)
設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供に係る報酬に
対応する原価の額は、当該報酬の額を益金の額に算入する事業年度の
損金の額に算入するのであるが、
法人が継続してこれらの技術役務の提供のために要する費用のうち
次に掲げるものの額をその支出の日の属する事業年度の損金の額に
算入している場合には、これを認める。
(1)固定費(作業量の増減にかかわらず変化しない費用をいう。)
の性質を有する費用
(2)変動費(作業量に応じて増減する費用をいう。)
の性質を有する費用のうち一般管理費に類するもので
その額が多額でないもの
及び相手方から収受する仕度金、着手金等(一定のものに限る。)
に係るもの
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ここで問題となるのが、上記の言葉に関する考え方です。
これに関しては、下記2冊の書籍があるので、
一部を加筆して記載します。
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1、「法人税基本通達の疑問点」(ぎょうせい)
元東京国税不服審判所部長審判官、青山学院大学名誉教授 渡辺淑夫 編
同一費用であっても、例えば給与のうち固定給部分は固定費とし、
超勤手当部分は変動費とすることが認められるものと考えらます。
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2、「法人税基本通達逐条解説」(税務研究会出版局)
国税庁課税部法人課税課 課長補佐 森 文人編著
変動費に関して「多額でない」という表現がされたのは、
「少額のもの」というよりは幅広い考え方がとられたということであり、
損益計算に与える影響をも相対的に勘案して多額がどうかの判断を
することになろう。
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固定費、変動費の中でも特に人件費が経費になるのか、
仕掛品になるのかにより、大きく違うこともあるでしょう。
しかし、通達と上記書籍の中で
○ 人件費は固定費と変動費に分けてOK
○ 固定費は経費でOK
○ 変動費は「多額でない」ならば、経費でOK
→ 「少額のもの」というよりも幅広い考え方
と教えてくれているのです。
もちろん、このこれらの意味していることは
人件費に限ったことではありません。
いずれにせよ、もしも皆さんの会社の税務調査で
このことが問題になったら、上記2冊の書籍を【提示して】ください。
そして、「この本にがこう書かれていますので、OKですよね!」
と交渉してください。
元国税、現役国税が書いた本の根拠を提示されることは
税務調査官にとっては非常に嫌なものなのです。
もちろん、上記の2冊の記載は100%の明確な基準を
示しているものではありませんし、曖昧な表現も取られています。
もちろん、何をもって「多額でない」と言えるかは
誰にも決められる内容ではありません。
しかし、【実際の現場では相当、有効な交渉方法】なのです。
もし、それでも相手が納得しないなら、
○ 納得できないので、修正申告は出しません。
○ 税額は更正(税務署が税額の通知をすること)してください。
と言ってください。
更正するということは、不服申立て、裁判になる可能性もあるので、
税務調査官は非常に嫌がる話になります。
だから、「争っても十分に勝てる」と思わなければ、
更正は絶対にしてこないのです。
結果として、
「では、Aはいいですから、Bだけで修正申告を出してください」
となることは【非常に多い】のです。
今回の話に限らず、
○ 指摘されていることがグレーゾーンの内容である
○ その基準は誰にも決められるものではない
という場合、「では、更正してください」と言ってください。
この一言は非常に有効な言葉なのです。
今回のメインテーマである仕掛品のことと併せて、
このことも覚えておいてくださいね。
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■編集後記
今日は雨ですね・・・。
しかし、明日からは暑くなるそうです。
早起きが最も気持ちいい季節になってきましたね〜。
電車もすいているし、勉強もできるし、
早起きは三文以上の得を私にもたらしてくれました。
皆さんも是非、早起きに挑戦してみてください。
人生が加速しますよ!
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人