税務調査で否認されない贈与と節税対策としての生前贈与
2012年05月29日 11:15
相続対策として未成年者に生前贈与をする際の注意事項を以前のメルマガで紹介しましたが、改めて税務調査で否認されないための贈与について解説します。
過去には、未成年者に対する生前贈与として預金を積み立ててきたのに、法的に贈与が認められない例や、積み立てた預金が受贈者本人の管理下にないために税務調査で否認された例もあります。
今回のメルマガを読むことにより、正しい生前贈与を行い、節税対策に役立ててください。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
前々回のメルマガでフェイスブックの告知をしたら、
多くの方から友達リクエストを頂きました。
本当にありがとうございます。
私の日常だけでなく、税務やマーケティングなども配信しておりますので、
よろしければ、友達リクエストをして頂ければと思います。
お待ちしてますね〜(笑)。
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では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「税務調査で否認されない贈与とは?」をお伝えします。
1/24、2/1に同じテーマでメルマガを書きましたが、
以前同様、同じミスをしている方が沢山いらっしゃいます。
そこで、今回のメルマガはこの2つをまとめ、
さらに新しい情報も加えて配信します。
なお、贈与契約書、確認書のひな形もフルパターンで記載しますので、
かなりの長文になりますが、ご了承ください。
ここに書かれていることをきちんと守って頂ければ、
税務調査で否認されることはないでしょう。
だから、生前贈与をしようとしている方がいらっしゃれば、
このメルマガを転送してあげてくださいね。
ただし、転送される場合は誤解が生じるといけないので、
全文転送でお願いします。
では、前置きが長くなりましたが、本題です。
「おじいちゃん、おばあちゃんが子供や孫の名義で預金を積んている」
ということがよくあります。
もちろん、これが【適法に贈与が成立している】ならば、問題ありません。
しかし、その多くは
○ 適法に贈与が成立していない
○ 相続時におじいちゃん、おばあちゃんがの相続財産となる
→ 子供や孫の名義を借りているだけという取り扱いになる
という事例は【本当に本当に本当に】多いのです。
その結果、何十年もかけて、多額の預金を移動したにも関わらず、
【1円も相続対策になっていなかった】ということは非常に多いのです。
また、未成年者に贈与する場合、
○ 0歳などの幼児に対する贈与は成立しない
○ 一定の年齢以上にならないと贈与が有効に成立しない
と思われている方もいます。
しかし、それは間違っています。
そもそも「贈与」とは民法で定められた行為です。
そして、民法では贈与される人(受贈者といいます)
の年齢制限を設けていません。
だから、年齢に関係なく、贈与されることはできるのです。
実際、国税不服審判所の裁決(平成19年6月26日)でも
下記の旨が記載されています。
○ 未成年者への贈与の場合、親権者が同意すれば贈与契約は成立する
○ 未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかは関係ない
だから、0歳の赤ちゃんに対する贈与も有効なのです。
ただし、ここで大きな注意点があります。
よくあるパターンとして、以下のものがあります。
○ 贈与は口約束だけで行われている(=贈与契約書が無い)
○ 贈与税の申告はされている
しかし、これは危険な状況で、
上記裁決でも「贈与が本当にあったかの判断」につき、
以下の旨が記されています。
○ 贈与税の申告、納税は1つの証拠にすぎない
○ 贈与が本当にあったかどうかは具体的な事実を総合勘案して判断
だから、贈与を行なうならば、贈与契約書を交わしておくべきなのです。
また、現金ではなく、振込みにより行なうべきなのです。
これらが総合勘案の大きな根拠になりますから。
ちなみに、民法では未成年者の場合、
親権者が子供の財産を管理することになっています。
だから、下記のような契約書を作成するのです。
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贈与契約書
贈与者 ●(以下、「甲」という)は
受贈者 ●(以下、「乙」という)に
金銭●万円を無償で与える意思を表示し、
乙の法定代理人(●●●●(父)、●●●●(母))はこれを受諾した。
また、甲は平成●年●月●日までに当該金額を
乙の下記口座に振り込むものとする。
●●銀行●●支店 普通口座 ●●●●●●●
口座名義人 ●●●●
平成●年●月●日
甲 住所 ●●
名前 ●● 印
乙 住所 ●●
名前 ●●
乙の法定代理人(父)
住所 ●●
名前 ●● 印
乙の法定代理人(母)
住所 ●●
名前 ●● 印
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もちろん、上記契約書は
○ 祖父母が孫に贈与する場合
○ 父母が自分の子供に贈与する場合
のいずれの場合も使うことができます。
そして、父が自分の子供(未成年者)に贈与する場合、
「贈与者:父、受贈者の法定代理人:父と母」となります。
なお、受贈者が成年者ならば、法定代理人は必要ないので、
乙の欄に自分で押印すればいいだけです。
贈与を行なう場合は
○ 適法な贈与契約書を交わすこと
○ 銀行振込により実行すること
が重要なのです。
それから、次の論点です。
過去に行なった贈与で贈与契約書がないものは
どうしたらいいでしょうか?
○ 口約束ではあっても贈与は成立している
○ 贈与契約書はなく、贈与税の申告書と納付書だけがある
という場合です。
「今から当時の贈与契約書を作っても、ばれなければいいのでは?」
と言われそうですが(笑)、それは日付をさかのぼることなので、
ここでは適正な方法をお伝えします。
そんなバックデートでの行為をしなくてもOKなのです。
それは「過去の贈与に関する確認書」を作成するということです。
具体的なひな型をご紹介します。
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贈与に関する確認書
●●(以下、「甲」という)が●●(以下、「乙」という)の
下記口座に平成●年●月●日において振り込んだ●円は
平成●年●月●日に甲が無償で乙に与える意思を表示し、
かつ、乙が受諾した贈与(以下、「本件贈与」という)の履行として
行なったものである。
ただし、本件贈与は口頭にて行われ、書面によらないものであったため、
この確認書をもって、本件贈与は平成●年●月●日において
民法549条により成立していることをここで確認する。
平成●年●月●日(公証役場での確定日付※を取れば、ベター)
※ 公証役場で押してくれる日付印
甲(贈与者)
住所 ●●
名前 ●● 印
乙(受贈者)
住所 ●●
名前 ●●
乙の法定代理人(父)
住所 ●●
名前 ●● 印
乙の法定代理人(母)
住所 ●●
名前 ●● 印
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こうしておけば、この確認書が贈与契約書の代わりとなり、
当時に贈与があったことを保全してくれます。
贈与税の申告書と納付書だけが存在している場合は、
このような確認書を作り、将来の税務調査に備えましょう。
この確認書も上記の契約書同様、受贈者が成年者ならば、
乙の欄に自分で押印すればいいだけです。
それから、これに関する補足を1ついたします。
それは
○ 贈与が行なわれた当時・・・贈与された人は未成年者だった
○ この確認書を作成する時点・・・贈与された人は成年している
という場合です。
この場合も「当時の」親権者が未成年者の法定代理人として、
確認書に押印しましょう。
これは税務にも精通した弁護士に確認しましたが、
その方が理論的にすっきりするとのことでした。
では、最後に、贈与した後の管理状態に関する注意点をお伝えします。
当然ですが、贈与された後の預金は受贈者の物です。
だから、その受贈者本人が預金を管理し、
常に自由に使えるようになっていることが重要です。
もちろん、受贈者が未成年者の場合は親が親権者(法定代理人)として、
管理しているということはOKです。
これも贈与に関しては重要な要素ですが、
「受贈者が使ってしまうといけないから」
という理由で本人の管理下に置かれていないケースもよくあります。
しかし、それは税務調査での否認リスクを伴いますので、
ご注意くださいね。
税務調査があれば、
○ 定期預金の満期に伴う書換書類は誰の筆跡か?
○ この口座の銀行印は誰のものか?
などのこともチェックされるのです。
生前贈与は長い時間をかければ、
非常に大きな節税効果をもたらす方法です。
しかし、
○ こちらは贈与した「つもり」
○ 法的には贈与が成り立っていない
○ 税務調査で否認される
というケースは【非常に】よくあります。
そうならないように、
○ 上記のような贈与契約書や確認書を作成すること
○ 振込みにより贈与を実行すること
○ 贈与後は本人の管理下に置くこと
が重要なのです。
覚えておいてくださいね。
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(株)日本中央会計事務所・日本中央税理士法人
代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
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■編集後記(見田村)
今朝も4時に起きたのですが、ちょうど下の子(7か月)が泣き始め、
6時まで抱っこで寝かせました。
ということで、いつもよりちょっと遅めのメルマガ配信です(笑)。
子供の寝顔はいいですね〜。
全ての活力の源になりますね〜。
投稿者: 節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人