夫から妻への贈与は相続税の対象になるのか?
2012年06月13日 10:06
高齢化社会を迎えた現在の日本社会では、夫から妻へと相続、贈与をするということが増えてきています。
そこで今日のメルマガでは、妻が有料老人ホームに入居する際に支払った入居金が「非課税となる贈与」に該当するのかどうかを国税不服審判所の裁決を参考にし、相続税の対象について解説致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
昨日、ある会社の社長2人と食事をしていて、
その中でこんな会話をしました。
見田村「最近、税理士としての人生の終わり方を考えているんですよね」
K社長「おじいさんみたいですね(笑)」
まあ、笑い話ではあるのですが、これは本当に意識している話で、
多くの人が人生の終着点が見えだしてから、終わり方を意識します。
ただ、今から意識してそこに向かっていけば、
より達成の可能性が高くなるので、そんなことを考えています。
ちなみに、昨日までは
「税理士という職業は毎年の税制改正もあるし、何歳までできるかな?」
と考えていました。
しかし、昨日、K社長から「85歳の理論派の税理士がいる」
という話を聞き、すごく勇気をもらいました。
実際に私が何歳までやるかは別問題ですが、
「死ぬ時は税務六法を左手に持ちながら倒れてみるか!」
なんて思った夜でした(笑)。
そういえば、昔読んだ「代紋TAKE2」という漫画の中に
「たとえ、どぶ川で撃たれようとも、前のめりになって死ぬんだ!」
のようなセリフがあったことを思い出しました。
最後まで前に進み続ける人生がいいですね!
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「それは相続税の対象になるのか???」をお伝えします。
今日の話をする前に、下記の2つのことを覚えておいてください。
1、夫が妻の通常の生活費のために出したお金は贈与税が非課税
2、相続人への贈与(相続開始前3年以内のもの)は
改めて相続財産として取り込み、相続税を計算する
これに関して、似た「ような」事例でありながら、
「真逆の結果」が出た国税不服審判所の裁決があります。
簡単に書くと、どちらの事例も
○ 妻が有料老人ホーム入居する際に、夫が入居金を支払った
○ その支払後3年以内に夫が他界した
という事例です。
そして、その入居金が
「上記1の『非課税となる贈与』に該当するかどうか」
が争われた事例です。
つまり、それが上記2のとおり、
改めて相続税の計算対象とすべきかどうかということです。
これにつき、平成22年11月19日の裁決では納税者が勝ち、
平成23年6月10日の裁決では納税者が負けました。
この違いはどこにあったのでしょうか?
下記に状況の違いを記載します。
○ 平成22年11月19日の裁決
・ 妻が入居したのは【介護付き】有料老人ホーム
→ 妻は要介護4と判定され、介護が必要な状況
・ 部屋の面積 15平米
・ 建物全体の部屋数 64室
・ 入居金 945万円
・ 月額利用料 約24万円
○ 平成23年6月10日の裁決
・ 妻が入居したのは有料老人ホーム(介護付きではない)
→ 妻は介護が必要な状態ではない
・ 部屋の面積、建物全体の部屋数は伏字になっているため不明
・ フィットネスルーム、プール、エステなどもある
・ 入居金 1億3,370万円
・ 月額利用料 約16万円
結果として、
○ 前者は
・ 入居金は生活費の贈与で通常必要なもの
・ 贈与税は非課税であり、3年以内の再計算は不要
○ 後者は
・ 入居金は生活費の贈与で通常必要なものではない
・ 老人ホームに入居することが不可避であった訳ではない
・ 贈与税は非課税でなく、3年以内の再計算は必要
となったのです。
もちろん、ここでの大きなポイントは
「生活費として必要かどうか」という点であり、
上記2事例はかなり極端に離れたケースとなります。
しかし、「では、いくらなら生活費としてOKなのか?」
という基準がないことも事実です。
また、実際の現場では
○ 入居金は返還されないもの、期間で償却されるものなど、
取り扱いも様々
○ 入居金は安く、月々の利用料が高いという施設もある
という状況です。
そして、事が起これば、それが税務調査でどう判断されるか?
ということになります。
金額の基準がないだけに
「こうです!」と言い切れない部分が心苦しいですが、
上記の事例があることは覚えておいてください。
そして、該当することになってしまったら、
税理士と十分に協議をし、申告するようにしてください。
高齢化社会を迎え、このような事例はドンドン出てくるでしょうが、
「それが相続税の対象なのか否か」は大きな問題です。
もし、こういうことが心配であり、将来的に該当する可能性があるならば、
○ 配偶者へ自宅の贈与(2,000万円まで無税)を行なう
→ 将来、自宅を売却して老人ホームに入ることになった際、
妻は自分の入居金を自分で支払うことができる
○ まだ高齢でなければ、妻に毎年の贈与を行なう
→ 以前、書いたように贈与契約書の整備が必要
→ 贈与が成り立っていないと、「夫の財産」と否認される可能性あり
などの対策を行ないましょう。
それがいざという時の大きな対策になることもあるのです。
ちなみに、配偶者への自宅の贈与は相続開始前3年以内に行われたとしても、
改めて相続財産に加算し、相続税を計算することにはなりません。
だから、亡くなるまで日が無いとしても、
被相続人の財産を一気に2,000万円減らすことができるのです。
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■編集後記
昨日、当社マネージャーの新見が講師で、社員研修をやりました。
テーマは「従業員持株会、非上場株式の時価」でした。
私が講師でなくても、
こういうテーマで社員研修ができるというのは嬉しいですね!
事業承継を迎える会社が多い中で、このテーマは非常に重要な内容です。
私もいい復習になりました。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人