逆養老保険への加入による節税対策の注意点
2012年07月10日 11:07
最近、節税対策として使える「逆養老保険」という生命保険の販売に力を入れている生命保険会社があります。
そこで今日のメルマガでは、この「逆養老保険」に加入する際の注意すべきポイントを解説致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
先週のメルマガで、
○ 被相続人名義の財産は何も相続していない相続人が
死亡保険金だけをもらった
○ 財産額のバランスを取るため、他の相続人にお金(代償金)を
渡す
○ この場合、渡したお金は贈与になる
という話をしました。
新規ご登録のため、まだお読みでない方は下記をご覧ください。
http://www.77setsuzei.com/magazine/2012/07/03/post_246/
ただし、一度にお話しすると難しくなるので、
敢えて書かなかったことが1つあるので、これを補足します。
それは
被相続人名義の財産を相続したとしても、
「相続した財産の額 < 支払った代償金の額」となる場合は
「代償金の額−相続した財産額=贈与額」ということです。
つまり、相続した財産額以上に代償金を支払えば、
その「超える部分の金額」は贈与になるということです。
前回の内容と併せて、ご参考になさってください。
よろしくお願いします。
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「逆養老保険に加入し、節税すると・・・」をお伝えします。
今日のメルマガは長いですが、
非常に重要な内容なので、ゆっくりとお読みください。
みなさんは「逆養老保険」という節税に使われる生命保険をご存知ですか?
平成24年1月13日にこの逆養老保険に関する最高裁判決が出てから、
生命保険会社数社がこの逆養老保険の販売に力を入れています。
しかし、その加入には大きな注意点があるので、
これを覚えておいて欲しいのです。
まずは養老保険について復習しましょう。
一般的な養老保険(法人契約)は
○ 満期保険金・・・法人が受取人
○ 死亡保険金・・・遺族が受取人
というものです。
そして、経理処理は
○ 満期保険金に対する保険料・・・保険積立金(資産)
○ 死亡保険金に対する保険料・・・保険料(経費)
となります。
つまり、1/2は資産、1/2は経費ということです。
では、逆養老保険はどうかというと、
○ 満期保険金・・・本人が受取人
→ 満期の場合、まだ本人が生きているので、遺族が受取人ではない
○ 死亡保険金・・・法人が受取人
という逆にしたものです。
そして、経理処理は
○ 満期保険金に対する保険料・・・本人に対する給与(経費)
○ 死亡保険金に対する保険料・・・保険料(経費)
と「考えられてきた」のです。
なぜ、「考えられてきた」と書いたかというと、
法令や通達の中に明文規定が無かったからです。
結果として、逆養老保険は「給与+保険料」なので、
「全額が経費になる」と運用されてきた面もありました。
ただし、上記の最高裁判決(補足意見)の中で
「給与として処理することの事実上の容認」と理解できる記載があります。
結果として、
○ 満期保険金に対する保険料・・・本人に対する給与(経費)
○ 死亡保険金に対する保険料・・・保険料(経費)
ということで、全額が法人の経費でOKでしょう。
さあ、前置きが長くなりましたが、ここからが本番です。
では、この保険料を「年払い」で支払った場合はどうなるのでしょうか?
通常、逆養老保険は役員だけが加入するケースが多いので、
「年払いの役員給与 = 役員賞与」となり、
結果として、経費にならないのでしょうか?
いえ、それは違います。
なぜならば、
○ 役員のグリーン車の定期券(6ヶ月定期)
○ 役員が負担すべき生命保険料(年払い)→ 今回の内容
などを会社が負担している場合、それは通常の役員報酬でOKだからです。
こういう経費の考え方は
○ 毎月の支払いかどうかは関係ない
○ 役員が実際に受ける経済的利益が毎月おおむね一定かどうかで判定
となります。
これは法人税基本通達の趣旨説明の中に明記されています。
だから、給与になる保険料は年払いであっても、
「全額が経費になる」のです。
しかし、ここで「大きな1つの問題」があります。
全額が経費になることはOKとしても、
「それがどの期の経費なのか?」ということです。
こういう保険の場合、期末近くで加入し、年払いとすることが多いですが、
全額が「支払った期」の経費でいいのでしょうか?
ちなみに、「翌期の経費も今期中に支払えば、当期の経費でOK」
という通達があります。
だから、今期の経費でOKなのでしょうか?
ここで復習ですが、逆養老保険の経理処理は
○ 満期保険金に対する保険料・・・本人に対する給与(経費)
○ 死亡保険金に対する保険料・・・保険料(経費)
でした。
後者の保険料になる部分は特に問題はないので、
翌期対応分も期末に支払い、今期の経費でいいでしょう。
しかし、本人に対する給与(役員報酬)はそうならない可能性もあります。
なぜならば、役員報酬に関しては、
「翌期の経費も今期中に支払えば、当期の経費でOK」
という通達の取り扱いが無いからです。
実際、「役員報酬の年払いにはこの通達の適用なし」ということで
納税者が負けています(平成15年2月20日 国税不服審判所)。
お金であれ、保険料であれ、役員報酬という意味では同じだから、
「翌期の経費も今期中に支払えば、当期の経費でOK」
という通達の適用は無いという可能性もあるのです。
実際、「役員給与課税の重要点解説」(大蔵財務協会)でも
年払いの養老保険を題材にし、同じ旨が記載されています。
結果として、
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給与となる保険料のうち、翌期対応分は「前払費用」として資産計上し、
翌期の経費になる
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という可能性もあるのです。
ただし、出典は分かりませんが、
これと逆の意見が書いてある書籍のコピーを見たことがありますが、
通達番号が古いものでした。
結果として、
「役員報酬となる保険料を年払いしても、当期の経費でOK」
という通達などはないため、100%の結論はありません。
しかし、世の中では「単純に全額が経費でOK」ということで、
リスクの意識が無いままに加入している会社が多いと感じます。
しかし、そうではないのです。
結果として、税務調査官が逆養老保険に関して、
上記のような理論構築ができているということは少ないかもしれません。
だから、実際に否認リスクがどの程度あるかということも未知数です。
しかし、みなさんが逆養老保険に加入するならば、
このリスクだけは十分に検討すべきなのです。
ここはかなり適当になっている部分なので、覚えておいてくださいね。
今回は節税に関する注意点を解説しましたが、
下記「絶対節税の裏技77」では、節税のスキームだけではなく、
こういう注意点も含めて、解説しています。
是非、ご覧くださいね。
ご参考までに、お客様の声を記載します。
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● 東京都中央区 服部聡明税理士事務所 服部聡明 様
見田村先生は経理マンでない素人の社長様にも難解な税法を
実に平易に解説されておられます。
また、誤った理解をさせないような気配りが随所に見られ、
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それだけではありません。
市販本では到底書き得ない深いところまで踏み込んで記述されており、
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先生の志の高さが伺えます。
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思っております。
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当社にも顧問税理士さんはいますが、
「こんなことを聞いていいかな?」というものがあり、困っていました。
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知りたかった役員報酬の資料もあり、購入してよかったです。
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私もお客様へ節税の提案をする際には多いに参考にさせていただきます!
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●「絶対節税の裏技77」はこちら
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(株)日本中央会計事務所・日本中央税理士法人
代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
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■編集後記
今、横浜支店でこのメルマガを書いています。
ちなみに、当社の横浜支店が入っているビルにはスパがあります。
○ 真冬の寒い時期、出社前に入る風呂
○ 夏の暑い時期、飲みに行く前に入る風呂
は最高です。
それがここを借りて、最も良かったと感じる点です(笑)。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人