重加算税と不正行為の考え方と延滞税の計算対象外期間の考え方
2012年08月21日 12:56
税務調査にて税務調査官に否認を指摘され、その否認が「隠ぺい、仮装」の場合は重加算税がかかってしまいます。
しかし、この「隠ぺい、仮装」に関しては税務署側に立証責任があると国税不服審判所の裁決にあります。
そこで本日のメルマガでは、「隠ぺい、仮装」に関します「重加算税と不正行為の考え方」と「延滞税の計算対象外の期間の考え方」について、ご説明致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
昨日、フェイスブックで「贈与額と実際の税率」というエクセルを
公開したところ、いつもよりも大きな反響がありました。
メルマガにも記載しますので、どうぞ、ご覧くださいね。
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贈与額と実際の税率
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では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「その延滞税は払わなければならないのか???」をお伝えします。
税務調査があり、否認事項が出た場合、
「修正申告書を提出 → 本税、過少申告加算税、延滞税の納付」
という手続きとなります。
しかし、その否認が「隠ぺい、仮装」によるものである場合、
過少申告加算税ではなく、重加算税が課せられます。
ちなみに、この「隠ぺい、仮装」の立証責任は税務署側にあり、
国税不服審判所の裁決(平成9年12月9日)でも下記とされています。
少し読みにくいですが、敢えて原文を記載します。
なお、請求人とは納税者のことです。
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重加算税の賦課要件を充足するためには、
過少申告行為とは別に隠ぺい又は仮装と評価すべき行為の存在を
必要としているものであると解される。
これを本件についてみると、原処分庁の主張は、
請求人が意識的な過少申告を行ったものであるというにすぎず、
隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在について
何らの主張及び立証をしておらず、
また、当審判所の調査その他本件に関する全資料をもってしても、
本件貸付金について隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできない。
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だから、皆さんの会社が「重加算税です」と言われたら、
「『隠ぺい、仮装』の立証責任は税務署側にあるので、立証して下さい」
と伝えてください。
そして、
○ 過少申告加算税が課せられる場合・・・延滞税の計算対象外の期間あり
○ 重加算税が課せられる場合・・・延滞税の計算対象外の期間なし
という取り扱いになるのです。
しかし、なぜ、そうなっているのかを理論的に考えてみると、
おかしな一面が見えてくるのです。
そもそも、延滞税の計算対象外の期間は国税通則法に
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「不正行為」があった場合、計算対象外の期間なし
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と書かれています。
そして、国税庁のホームページに掲載されている税務大学校の税大講本でも
同様の旨が書かれています。
しかし、個別通達(昭和51年6月10日)では、
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「重加算税」が課された場合、計算対象外の期間なし
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と書かれています。
なお、重加算税が課されるということは
「隠ぺい、仮装」があったということであり、
「不正行為」があったということではありません。
これは5/22のメルマガでも解説したとおりです。
(参考:「隠ぺい、仮装」と「不正行為」の違い)
http://www.77setsuzei.com/magazine/2012/05/22/post_184/
ということは、法律からすれば、
「隠ぺい、仮装」があったとしても、「不正行為」がなければ、
【延滞税の計算対象外の期間はあるべき】となります。
そして、法律は通達に優先すべきものです。
ご参考までに「重加算税と税務調査」(税務経理協会)の中でも
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重加算税(=隠ぺい、仮装)であれば、それが「不正行為」に該当するか
どうかの検討のないまま、延滞税の計算対象外の期間を認めていない。
これは国税通則法に反する処分の恐れがある。
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という旨が記載されています(私が要約)。
この本の著者である鴻秀明先生は東京国税局査察部、資料調査課などで
長い間、重加算税の案件に携わってきた方です。
もちろん、「隠ぺい、仮装」は「不正行為」と重なる部分もあり、
近い概念の言葉ではあります。
しかし、イコールではないのです。
だから、「重加算税 = 延滞税の計算対象外の期間は無い」
という取り扱いは「法律的には」おかしいのです。
しかし、現実的には、重加算税が課された場合はほとんどのケースで
「延滞税の計算対象外の期間なし」となっています。
しかし、それは厳密に言うと「法的にはおかしい」のです。
もし、皆さんの会社に税務調査があり、重加算税が課された場合、
○ 法律には「不正行為」の場合、計算対象外の期間なしと書いてある
○ 「重加算税(=隠ぺい、仮装) = 不正行為」ではない
○ これがイコールであるならば、その根拠を教えて欲しい
と交渉してみてください。
実際、上記の鴻先生の書籍にも、この問答が記載されており、
統括官(税務調査官の上司)が困る姿が書かれています。
ここは何も交渉しなければ、
当たり前のように多額の延滞税が課せられ、納付するだけです。
そして、延滞税は経費にもならず、
その納税に長く苦しむ会社も沢山あります。
もちろん、今日の話は多分に可能性という側面を含んだ内容ではあります。
しかし、「法律的にはおかしいことが現実で起きている」ことも事実です。
皆さんの会社で同じことが起きた場合、
交渉してみることも必要なことなのです。
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