翌期分の経費を今期中に支払って今期の経費にする節税対策の注意点
2012年10月09日 10:22
「翌期分の経費を今期中に支払って、今期の経費にする」という節税対策は多くの税理士が提案する節税方法だと思います。
しかし、この節税方法を実行する際に「等質等量」、「重要性に乏しいもの」という2つの要素がなければ、せっかく行った節税対策も税務調査にて否認されてしまいます。
そこで今回のメルマガでは、「翌期分の経費を今期中に支払って、今期の経費にする」という節税対策の正しい考え方を解説いたします。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
最近、以前に書いたメルマガの「生前贈与」に関し、
複数の方からご相談を頂きました。
そのいずれもが、「メルマガに書いてあることは100%理解したが、
自分の方法で大丈夫なのかが不安だ」ということでした。
相続税について最も問題となるのは名義預金(借名預金)※であり、
その多くは「贈与したつもり」ということが多いのです。
※子や孫名義だが、被相続人名義(=相続財産)とされる預金
この「贈与したつもり」という預金は本当に多く存在します。
皆さんが相続対策のために、預金「など」を生前贈与しているなら、
ご注意くださいね。
なお、過去の相続、贈与に関するメルマガ(全て)は
下記にまとめていますので、ご覧くださいね。
また、ご不安な点があれば、お問い合わせ頂ければと思います。
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では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「それは本当に費用になりますか?」をお伝えします。
税理士がよく提案する節税対策に
「翌期の家賃を今期中に支払って、今期の経費にしましょう」
というものがあります。
しかし、この方法が否認されている事例は少なくないので、注意が必要です。
では、なぜ、税理士が提案した方法にも関わらず、
否認されてしまうのでしょうか?
結論の前に、この節税対策の根拠をお伝えします。
この「翌期の経費を今期中に支払って、今期の経費にする方法」は
法人税基本通達2−2−14に書いてあります。
ここを分かりやすく書き直しましたので、まずはこれをご覧ください。
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前払費用(=翌期の費用)は今期の経費にならないが、
支払った日から1年以内に提供される役務に対するものを支払った場合、
支払額を継続して支払った期の経費にしているときは今期の経費でOK。
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ただし、ここには「一言も」書かれていませんが、
実際の税務調査の現場では重要な要素が2つあるのです。
多くの税理士がこれを知らないままに提案してしまうので、
否認され、顧問契約の解除に至ったりするのです。
その2つの要素とは
(1)通達に書いてある「役務」とは「等質等量」であること
(2)重要性の乏しいもの
という2つです。
まずは(1)を解説します。
この「等質等量」とは書いてあるままの意味なので、
この要素が無いものはこの通達の適用が無いのです。
たとえば、税理士の顧問料は毎月の相談内容、相談量も違うので、
等質等量には当たりません。
だから、税理士の顧問料の翌期1年分を前払いしても、
それは「翌期の経費を前払いしたにすぎず」、当期の経費にはなりません。
これを否認されている事例はよくありますが、
ここは争っても「100%」勝てない部分となります。
逆に、事務所家賃、ソフトウェアのレンタル料などは等質等量なので、
この通達により、翌期分を前払いしても当期の経費になるのです。
次に(2)についてです。
その経費につき、重要性が乏しいかどうかの明確な基準はありません。
ただし、これに関する有名な長崎地裁の判決(平成12年1月25日)が
あり、その判決文に下記の旨が記載されています。
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金額だけの判断ではなく(=金額も重要な要素となり)、
法人の財務内容に占める割合や影響を総合的に判断する必要がある。
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ちなみに、この事例で「当期の経費+前払いした翌期の経費」の合計額は
「売上に占める割合が20%」となっていました。
もちろん、この20%が「重要性が乏しいかどうか」の基準では
ありません。
また、翌期分の金額が4,500万円と多額であったことも
否認された大きな要因でした。
なお、この裁判は福岡高裁では棄却、最高裁では上告不受理で、
納税者が敗訴しています。
いかがでしょうか。
この「翌期分の経費を今期中に支払って、今期の経費にする」
という節税対策は税理士がよく提案するものです。
しかし、上記2つの「等質等量」、「重要性が乏しい」ということは
通達のどこにも書いてないので、税理士が知らないことも多いのです。
もし、皆さんが顧問税理士からこの節税対策の提案を受けたら、
この2つの要素を必ず検証してくださいね。
金額が大きくなることも多いので、
否認された場合の納税額も大きくなりますから・・・。
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代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
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ご注意ください。
■編集後記
土曜日は息子の小学校の運動会でした。
私は綱引きに参戦し、勝ちました。
ただ、試合の終了後、隣のシートで湿布をはるお父さんがいて、
別のお父さんは腰の痛み止めを飲んでいました・・・。
私ももうすぐ44歳(笑)。
気を付けないとですね。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人