ある程度の空室期間がある賃貸物件の評価減(貸家建付地の評価減)をする場合の考え方
2012年11月06日 13:31
賃貸不動産を相続した場合、この不動産をどう評価するかによって相続税の節税効果が大きく変わってきます。
そこで今日のメルマガでは、ある程度の空室期間がある賃貸物件の評価減をするための考え方(貸家建付地の評価減)を国税不服審判所の裁決を例に解説致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
さて、11月になりましたが、今月は労働基準監督署の調査が多い月です。
多くの会社が「いざ、調査」となってから焦り、対応に困り、
社労士 内海へのご相談が増える状況になっています。
もちろん、内海はギリギリの部分まで対応しておりますが、
どうしようもないケースもあります。
こういう事態に陥らないためにも、
○ 会社のリスクヘッジとして、日頃からどういうことに気をつけるべきか
○ 調査になったら、どういう書類を用意し、何に注意すべきか
ということをしっかりと身に付けておく必要があります。
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では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「その不動産の評価は大丈夫???」をお伝えします。
日本の相続は「不動産が中心」なので、
これをどう評価するかにより相続税が大きく変わるケースもあります。
その要素は多岐に渡るのですが、
この中から賃貸不動産に関して興味深い裁決(平成20年6月12日)
があるので、ご紹介します。
なお、この内容は非常に重要なのですが、
時系列的にゆっくりとお読み頂かないと理解できない部分もあります。
頭の中で「時点」を整理しながら、お読みください。
ちなみに、賃貸不動産の場合、
○ 土地の評価 = 駐車場などの更地の評価 × 約80%
○ 家屋の評価 = 自宅などの家屋 × 70%
となります。
昔からの地主さんが相続税対策のために、
賃貸不動産を建てるのは土地の評価減を受けられることが大きいのです。
まずは、この裁決の前提条件です。
○ 築25年の鉄筋コンクリート造、4階建の賃貸マンション
○ 相続開始日において、全20室のうち下記4室が空室
・ 202:空室期間は2か月、再入居は平成17年3月
・ 204:空室期間は1年11か月、再入居は平成17年1月
・ 305:空室期間は5か月、再入居は平成18年1月
・ 403:空室期間は9か月、再入居は平成16年12月
○ 税務署はこの4室を「賃貸としての評価減ができない」として否認
ちなみに、この相続税の申告は「平成17年4月11日」にされています。
ということは、申告時点で4室のうち3室は埋まっていたことになります。
なお、相続税の申告期限は相続開始日から10か月以内なので、
相続開始日は平成16年6月頃と【推察】されます(伏字になっています)。
もちろん、この不動産は
○ 賃借人が退去すれば、修繕を行ない、不動産業者が募集していた
○ フェンスには不動産業者の連絡先が常に表示されていた
○ 定期的に外壁塗装や湯沸かし器などの交換が行われていた
という状況です。
ちなみに、相続開始日に空室であっても、その空室が一時的なものならば、
賃貸不動産としての評価減はできることになっています。
その根拠は平成11年7月29日付で国税庁から出された情報に
下記の【例示】があるからです。
読みにくいものではないので、原文から抜粋します。
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例えば、次のような事実関係から、アパート等の各独立部分の一部が
課税時期において一時的に空室となっていたにすぎないと認められるもの
については、課税時期においても賃貸されていたものとして取り扱って
差し支えないこととした。
(イ)各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること。
(ロ)賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、
空室の期間中、他の用途に供されていないこと。
(ハ)賃貸されていない期間が、課税時期の前後の例えば1か月程度
であるなど一時的な期間であること。
(ニ)課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと。
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もちろん、これはあくまでも【例示】で、明確な基準ではありません。
しかし、この中に空室期間が「1か月程度」と表現されていることから、
評価減するためには、空室期間は「1か月〜長くても数か月」と
考えている税理士も少なくありません。
しかし、その考え方は保守的すぎるのです。
ちなみに、上記4室の中で相続開始日における空室期間が
最も長いのは1年11ヵ月で、この部屋の再入居は平成17年1月です。
ということは、相続開始日を上記のとおり、
平成16年6月と「仮定」とすると、
結果としての空室期間は下記となります。
(1)相続開始を平成16年6月と仮定(この時点で1年11か月空室)
(2)再入居は平成17年1月(平成16年6月から7か月経過)
(3)(1)+(2)=1年18か月 → 2年6か月空室
もちろん、この計算は相続開始を平成16年6月と仮定したものですが、
相当の期間に渡り、空室だったことが推察されます。
相続開始後すぐに相続税の申告がされることは稀なので、
当たらずとも遠からずという期間になるでしょう。
結果として、この裁決では4室とも一時的な空室ということで、
建物、土地ともに評価減が認められました。
いかがでしょうか?
皆さんは賃貸不動産をお持ちでしょうか?
また、皆さんの周りに賃貸不動産をお持ちの方は
いらっしゃるでしょうか?
今日の裁決は非常に重要なものであるにも関わらず、
税理士も含め、ご存知でない方が多いものでもあります。
是非、周りの知人、友人などにもお伝え頂ければと思います。
なお、ある程度の空室期間がある賃貸物件の評価減をする場合、
「平成20年6月12日の裁決を根拠に一時的な空室と判断し、評価減した」
という旨を相続税の申告書に記載しておくといいでしょう。
実際には、裁決の原文もある程度は載せた方がいいかと思いますので、
ここは相続税を担当する税理士にご相談ください。
併せて、ご参考になさってくださいね。
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代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
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ご注意ください。
■編集後記
明日から神戸に出張です。
といっても、夕方に着いてお客様と食事しながら打合せ、
そして、次の日には戻ってくるというハードスケジュールですが(笑)。
私は関西に2ヶ月に1回出張しているのですが、
大阪ならば、「後1社だけ」担当できます。
2か月に1回、私がお伺いするという前提で、
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投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人