税務調査時に、相続した預金が誰のものであるかを判断する根拠とは
2012年11月20日 10:28
現預金を相続した場合、その管理状況が悪いと、税務調査時に贈与税と無申告加算税が課される可能性があります。
今回のメルマガでは、国税不服審判所の裁決を見ながら、現預金の適正な贈与の方法、対策を解説していきます。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
前々回のメルマガで逆養老保険のことを書きましたが、
かなり大きな反響がありました。
そこで、補足を致しますが、
役員報酬を決める株主総会の議事録には金額だけを書いてはいけません。
以前のメルマガ(下記URL)にもあるように、
金額だけでなく、様々な経済的利益も記載しておく必要があるのです。
しかし、一般的な議事録は役員報酬の金額だけが記載されており、
それでは「否認リスクを含んだ議事録」なのです。
ご注意くださいね。
なお、「絶対節税の裏技77」をお持ちの方は
Q3「税務調査で役員報酬の指摘をされても否認されずに経費にする方法」
を併せてご覧ください。
http://www.77setsuzei.com/magazine/2012/09/04/post_254/
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「その預金は誰の物?」をお伝えします。
相続税の税務調査で最も多く否認されるのは「現預金」です。
これに関しては、このメルマガでも何度も書いてきましたが、
依然として、同じようなご質問も多いのも事実です。
そこで、今回は注意点も含め、
納税者が勝った裁決(平成13年3月29日)を解説します。
まずは、前提条件です。
○ 被相続人(父)は平成8年1月15日死亡
○ 被相続人(父)の妻(母)は平成7年1月4日死亡
○ 父の相続に関し、相続人(子)名義の預金であっても、
実態は父のものであり、父から子に贈与されたものと否認された
○ 贈与税と無申告加算税が課された
これに対して、国税不服審判所は下記の通りの裁決としました。
下記の1〜4という否認された根拠に沿って、記載します。
1、母がこの預金の印鑑を所有しており、
銀行担当者は母のみに会い、その指示の下で取引をしていた
2、母が相続人(子)名義を自由に使用し、
預金をすべて一体のものとして管理していた
この1、2は預金が母のものであるという根拠にはなり得ても
被相続人(父)のものであるという根拠にはならない。
3、この預金は出金されることはほとんどなく、
相続人(子)がその一部を消費した事実はない
この3は預金が相続人(子)のものではないことを
推測させる一事情に過ぎず、被相続人のものであることを
推測させる理由とはならない。
4、母名義の預金書き換え時に使用した印鑑が相続人各人の
銀行口座の印鑑と異なっていた
預金が誰のものかを判断をする根拠として希薄である
なお、相続人はこの預金は平成4年9月以前に
母から贈与された旨を主張しています。
ただし、審判所はこの預金が「被相続人のものでない」と認定するだけで、
この相続人の主張に関しては「判断を要しない」としています。
つまり、これを論点にしていないのです。
個人的には「この預金は母の相続財産ではないか?」とも思いますが、
ここでは何も触れられていません。
結果として、納税者が勝ったことは良かったのですが、
こういう状況になっている預金はよくあります。
再度、この事例の内容だけでなく、一般的な注意点も含め、まとめてみます。
○ 銀行印が各人ごとに区別されず、共通で使われている
→ 銀行印は各人ごとに分けておくべきです。
○ 母が父、子供名義の預金を一括管理している
→ 定期預金の書き換え書類などにも母の筆跡が残っている
→ 通帳、印鑑、カードを全て母が持っている
○ 父、子供はその預金の存在を知らない。
知っていたとしても、自分の自由にできない
こういう問題は本当によくあり、
相続の税務調査で問題になりやすい項目でもあります。
子供が未成年(幼少)であっても、印鑑などの区別はきちんとし、
贈与したものは贈与契約書を作成し、贈与税の申告をすることが
大切です。
また、幼少期において【適正に】贈与したものであれば、
子供が成年などになった段階で子供に管理を任せなければなりません。
適正な贈与の方法は以前のメルマガをご覧ください。
http://www.77setsuzei.com/magazine/2012/05/29/post_191/
よく「子供に渡すと使ってしまうから」という理由から、
渡さないケースもありますが、税務調査で問題になる可能性があります。
「渡すけど、無駄に使ってはいけないよ」と言い聞かせ、
子供の管理下に置くことが重要なのです。
もちろん、無駄使いをしているかどうかのチェックをすることは
問題ありませんので。
相続税の税務調査では現預金が最も重要視されるポイントです。
この指摘を受けないためにも、
日頃からきちんと書類の整備も含め、対策しておくことが大切なのです。
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■編集後記
昨日は京都、来週は屋久島、鹿児島に出張です。
12月は愛知、岐阜、三重、京都、大阪と出張です。
ゆっくり仕事をしようと思いつつ、10年が経過しました(笑)。
まあ、結果として、ゆっくりすることはできない性分なので、
今の目標は101歳で税制改正セミナーをやることに変更です(笑)。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人