税理士が実際の交渉に使った抗弁書をお見せします(抗弁書の書き方)
2012年11月27日 10:15
税務調査の結果に納得がいかない場合には抗弁書を作成し、税務調査官に反論する方法があります。
本日のメルマガでは、見田村が税務調査において「役員貸付金」と「役員賞与」の分岐点の扱いについて税務調査官に実際に提出した抗弁書の中身を見ながら、「税務調査官側の立証責任」について説明致します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
皆さんは3連休はどう過ごされましたか?
私は屋久島に行き、10歳の息子と一緒に縄文杉を見てきました!
ちなみに、往復11時間(22キロ)の行程でしたが、
樹齢7,200年の縄文杉は神々しく立っていました。
感動!
息子も「すごかった!」と言っていたので、連れていって良かったです。
これから屋久島はシーズンオフになりますが、
春になったら、皆さんも是非、見に行ってみてください。
思っていたよりもきつくなく、
普段、全く運動をしていない私でも筋肉痛にすらなりませんでした。
妻には「中1日空いて筋肉痛になるんじゃないの?」と言われましたが、
大丈夫でした(笑)。
44歳、まだまだ若いです(笑)。
お薦めの場所なので、是非!
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「役員貸付金と役員賞与の分岐点」をお伝えします。
秋の税務調査もほぼ終わり、
税務調査の結果に関しては悲喜こもごもという時期でしょうか。
当たり前ですが、税務調査は交渉方法によって、
白にも黒にもなる要素があります。
そこで、今日は私が「実際の交渉で使った抗弁書」をご紹介し、
税務調査官に反論する具体的な方法(抗弁書の書き方)を解説します。
まずは、2011年8月30日に書いたメルマガをご覧ください。
http://www.77setsuzei.com/magazine/2011/08/30/post_109/
この中のポイントは、役員賞与と否認するためには、
○ 社長が何かしらの形でお金を取得していること
○ 社長が経済的な利益を受けていること
○ 社長個人の所得では説明できない資産の増加があること
○ 社長がこのお金を使った事実があること
ということです。
ただし、お金に色はありませんので、こういう事実が明確な場合もあれば、
そうでない場合(微妙な場合)もあります。
実際、私が交渉したケースはこれが明確な状況ではありませんでした。
そこで、私は下記の抗弁書を作成し、税務調査官と交渉したのです。
今回のテーマに該当する部分のみを抜粋しますが、
実際の交渉に使った文章なので、固い表現になることをご了承ください。
なお、======で挟んだ部分が実際の文章ですが、
下記に記載した「前回の税務調査時」は別の税理士でした。
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2、役員賞与の件
前回の法人税等に関する税務調査(以下、「前回調査」という)において、
現金収入の売上計上もれのご指摘を頂き、貴殿の指導に基づいた修正申告書
が受理されております。
ただし、この売上計上もれに伴い、簿外となった現金の取扱いは
役員賞与ではなく、役員借入金の返済として処理されております。
これは前回調査の対象となった各事業年度において、株式会社●●が
代表取締役●●●●からの借入金を有しており、売上計上もれに伴う現金
が●●●●の管理下に置かれたことが実質的にその債務の返済と同様である
と判断され、この指導は適正であったと解しております。
そのため、今回の税務調査における売上計上もれに伴う簿外の現金も
同様に取り扱われるべきと考えており、これは前回調査の貴殿の指導にも
合致いたします。
ちなみに、国税不服審判所の裁決(福裁(法・諸)平22第3号、
平成22年12月17日)でも下記の取り扱いとなっております。
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本件■■■口座からの現金出金額のうち使途が明らかでない金額を
■■■■に対する給与等と認めるには、■■■■がこれを何らかの形で
取得し、あるいはその経済的利益を享受したことが積極的に立証されるか、
少なくともそれを推認するに足りる事実が立証されることが必要であるが、
原処分庁は、別紙3の(3)の「原処分庁」欄のとおり、本件■■■口座
からの現金出金額のうち使途が明らかでない金額について、■■■■が
何らかの形で自己の用途に費消したものと主張するだけで、
当審判所に対し、主張事実を認めるに足りる証拠を提示せず、また、
当審判所の調査によっても、■■■■が当該金額を受領し、又は
その経済的利益を享受していた事実を明らかにする証拠を見いだすことは
できず、さらに、■■■■個人に、その申告所得金額等によっては説明
できない純資産の増加又は消費支出が存在する事実等も認められない
ことからすれば、結局その使途が不明であるといわざるを得ない。
そうすると、請求人が■■■■に対して本件■■■口座からの現金出金額
のうち使途が明らかでない金額を給与等として支給したものと認めること
はできない。
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これを今回の貴殿のご指摘に照らし合わせると、簿外となった金額は
●●●●の株式会社●●に対する貸付金が現金に転化しただけであり、
●●●●側での個人純資産も増加しておらず、また、消費の事実も
ございません。
そのため、役員賞与となる事実も無いと考えております。
仮に貴殿が役員賞与と主張されるならば、●●●●の純資産の増加または
消費支出の具体的な内訳及び金額をご提示ください。
また、役員賞与とされる場合と役員借入金の返済とされる場合の
具体的基準についても併せてご提示ください。
======================================================================
いかがでしょうか?
この抗弁書を提出し、交渉した結果、私の主張は認められたのです。
税務調査で指摘を受ける論点はグレーゾーンであることもよくあり、
否認する場合、基本的には「税務調査官側の立証責任」が問われます。
しかし、この「税務調査官側の立証責任」が果たされないまま、
納税者側の立証責任が問われていることがよくあります。
しかし、そうではなく、
1、税務調査官が否認の根拠を示し、立証責任を果たす
2、納税者(税理士)が反論の根拠を示し、立証責任を果たす
というのが、基本的な流れなのです。
この1が無く、いきなり2が問われ、
納税者が立証できないということがよくあるのです。
繰り返しになりますが、税務調査は交渉により、
白にも黒にもなる要素を多分に含んでいます。
もし、皆さんの会社に税務調査があり、否認の指摘を受けたならば、
○ 国税不服審判所のウェブなどで過去の類似事例を調べること
→ 「裁決要旨の検索」を使うといいでしょう
→ 税理士が使うデータベースで調べてもらうことも有効
○ 納税者に有利な事例をピックアップし、交渉につかうこと
→ 該当部分を抜粋し、抗弁書に記載
が重要なのです。
是非、上記の文章例と共に、ご参考になさってくださいね。
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(株)日本中央会計事務所・日本中央税理士法人
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■編集後記
今、鹿児島のホテルでメルマガを書いています。
明日は
「個人開業医、医療法人のための節税&税務調査のノウハウセミナー」
の講師を務めます。
遠方からセミナーのご依頼があると、
その土地の美味しいものが食べられるので、嬉しいですね〜。
今日の晩御飯は寿司の予定なので、楽しみです!
日本全国どこでも行くので(笑)、是非、お呼びくださいね〜。
さあ、これから桜島を眼前に臨み、露天風呂に入ってきます(笑)。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人