生命保険の解約返戻金を使った節税対策に潜むリスク(経済合理性)
2012年12月11日 17:40
世の中で数多くの会社が実行している節税方法で、生命保険の解約返戻金を使用したものがあります。
しかし、生命保険の解約返戻金を利用した節税方法を実行するには経済合理性があるかないかが重要になってきます。
今日のメルマガでは、実際の税務調査の現場で問題になった事例を参考にして、生命保険を使った節税方法のリスクを解説します。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
今日は最初に、私も「1消費者として購入している商品」をご紹介します。
それは「月刊 税務調査対策」です。
これは元国税調査官の久保憂希也さんが発行されている商品で、
毎月、「DVD、CD+冊子」が届くものです。
内容は
○ 税務調査で盲点、論点となりやすいこと
○ 税務調査における「本当の」交渉方法
○ 過去の裁決、判例の重要ポイント
で、【一般の書籍には書いてない内容】が大半です。
これは税理士向けの商品ではありますが、
内容は非常に秀逸で、お薦めできるものです。
ちなみに、私はこの商品の創刊後、
1年以上経ってから会員になりましたが、非常に勉強になるので、
バックナンバーを全て大人買いした程です(笑)。
それくらいお薦めできるということです。
どれも勉強になる内容なのですが、一例を挙げると、
○ 反面調査の断り方
○ 役員報酬・退職金の基準
○ グレーゾーンの反論方法
などがあります。
税理士にとって知識の仕入れは重要ですが、
私にとって、その大きな1つとなっているのが、この商品です。
非常にいいものなので、ここでご紹介いたします。
なお、料金は下記となっています。
○ 入会金 10,500円
→ 12/11(火)〜14(金)【限定】で無料
○ 月額会費 9,450円
是非、ご覧になってみてください。
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「月刊 税務調査対策」
http://inspireconsulting.co.jp/tax/measures/
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では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「その節税は大丈夫ですか・・・?」を解説します。
生命保険で節税することはよくありますが、
下記の方法が生命保険営業マンから提案されることがあります。
1、法人が生命保険に加入する
2、解約返戻金が低い段階で個人に名義変更(=譲渡)する
→ 法人側で保険積立金(資産)が譲渡損になる
3、解約返戻金が高くなったら、解約する(=個人の所得となる)
4、法人が支払った保険料も個人の所得の計算上、経費にする
しかし、これにはいくつかの論点があるので、
下記のことを覚えておいて欲しいのです。
(1)個人が確定申告すること
「法人が支払った保険料 + 個人が支払った保険料 > 解約返戻金」
となるため、「確定申告しなくもOK」という人がいます。
しかし、これは脱税ですので、確定申告はすべきです。
また、この場合は「個人が支払った保険料のみ」が
個人の所得の計算上の経費になりますので、ご注意ください。
ちなみに、法人が支払った経費も個人の所得の計算上、経費に入れ、
否認された事例はいくつもあります(下記は1例)。
○ 平成20年6月6日 国税不服審判所
○ 平成22年1月19日 国税不服審判所
○ 平成24年1月13日 最高裁判所
なお、
「法人が支払った保険料 + 個人が支払った保険料 > 解約返戻金」
とはなりますが、法人が支払った保険料は経費になります。
この結果、節税できるので、損にはなりません。
(2)解約返戻金が低い段階で個人に名義変更(=譲渡)することの是非
ここは2つの論点があります。
○ 名義変更する対価の妥当性
この方法は解約返戻金が低い段階(=実態としては含み益あり)で、
譲渡しますが、低い解約返戻金相当額での譲渡でOKでしょうか?
○ 名義変更そのものの経済合理性
同族会社の場合、「法的にOKであっても、租税回避行為は否認できる」
という法律があります。
経済合理性とは、
○ 第三者間でも成り立つこと
○ 当然の流れの中で行なうこと
をいい、同族会社だからできることは経済合理性がないことになります。
だから、この名義変更そのものが大丈夫か?という論点もあるのです。
たとえば、法人で生命保険に加入したが、資金繰りが厳しくなり、
法人で生命保険を継続することが難しくなった。
しかし、生命保険は継続したいので個人が買い取った、などであれば、
経済合理性は成り立つことになります。
ただし、これを主張するなら、
その時の財務状況がポイントになりますが・・・。
ちなみに、この2つ(対価の妥当性、経済合理性)は
結論がない部分なので、大丈夫ともやめた方がいいとも
言えない部分になります・・・。
ただし、東京国税局の資料によると、
実際の税務調査の現場で、この事例が問題になっています。
これは私が情報公開法に基づき、入手したもので、
東京国税局の審理担当の研修資料です。
具体的には、千葉西税務署、武蔵野税務署で問題となっております。
もちろん、これは研修資料に取り上げられた1例なので、
実際にはもっと多くの事例が問題になっていると思われます。
ただし、残念ではありますが、この研修資料には
「その事例の結果はどうなったのか?」は書いてありませんでした。
○ 納税者が認め、修正申告をしたのか?
○ 税務署が否認し、更正(税務署が税額を決めること)をしたのか?
それは分かりません・・・。
ただ、私見ではありますが、これは否認されにくい部分なので、
「納得できないので、修正申告はしません」と言えば、
更正はされにくい部分と考えています。
だからといって、積極的に行なうのも微妙ですが・・・。
いかがでしょうか?
今日の話はかなりの件数が世の中で実行されている節税方法ですが、
リスクの意識の無いままに加入している社長がも多いことも事実です。
実際、生命保険の営業マンもリスクを説明しないままに、
加入させているケースも多いです。
少なくとも、上記(1)で説明したように
「確定申告しなくても大丈夫です」はあり得ません。
この営業トークはかなり横行していますが・・・。
今日の話は完全な結論がない部分ではありますが、
非常に重要なポイントですので、覚えておいてくださいね。
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■編集後記
今、栃木県足利市のホテルで、このメルマガを書いています。
昨日はお客様と食事でしたが、
今月は後8回、忘年会等の予定が入っています。
既にベスト体重オーバーの状態ですが(笑)、
元に戻るのはいつになることやら・・・。
来週は月から金まで出張なので、先で走るしかないですかね(汗;
それとも、今の体重をベスト体重ということに変更しようか?(笑)。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人