税務調査で役員賞与になるのか、役員貸付金になるのかの判断基準
2012年12月25日 11:03
税務調査で役員貸付金として処理していたものを役員賞与と指摘された場合でも、必ずしも全てが役員賞与となるわけではありません。
今年最後のメルマガでは、役員賞与と役員貸付金の判断基準を実際に納税者が争った裁決を参考にし、税務調査で税務調査官から役員賞与と指摘された場合の反論方法を解説します。
--------------------------------------------------------------------
<ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介頂ければ、幸いです。>
http://www.success-idea.com/magazine/
<顧問契約、相続税のご相談、単発のご相談のお問合せは>
本社:03−3539−3047(平日9:00〜19:00)
横浜支店:045−440−6087(平日9:00〜18:00)
http://www.77setsuzei.com/form/consul/index.html (24時間受付)
--------------------------------------------------------------------
朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
今回が今年最後のメルマガですが、
1年間お読み頂き、誠にありがとうございました。
厳選した情報をお届けし続けることは大変な側面もあるのですが、
○ 顧問先への提案に使わせて頂いています(税理士より)
○ 顧問税理士との打合せに役立っています(事業会社の社長より)
というお声も沢山頂きますので、頑張ってこれました。
来年もより良い情報を提供しますので、是非、ご覧くださいね〜。
では、今日の1分セミナーにいきましょう。
今回は「役員賞与なのか?役員貸付金なのか?」を解説します。
税務調査があり、「それは役員への個人的な利益供与だ」
ということで「役員賞与です」と否認されることがあります。
役員賞与と否認されれば、
○ 法人税の計算上、経費にならない(重加算税になることも多い)
○ 消費税も取られることもある
○ 個人の側では源泉所得税の対象になる
となるので、大きな痛手です・・・。
たとえば、
○ 売上計上もれ → 役員賞与
○ 交際費などの経費 → 役員賞与
などの流れがあります。
しかし、このような「指摘」を受けた場合、
必ず「役員賞与」となる訳ではありません。
これは以前のメルマガ(平成23年8月30日)でもお伝えした通り、
○ 役員が何らかの形で取得する、経済的利益を受ける
○ その役員の所得では説明できない資産の増加や消費
がある場合に役員への給与(→臨時的なものは役員賞与)となるのです。
ご参考URL(平成23年8月30日のメルマガ)
http://www.77setsuzei.com/magazine/2011/08/30/post_109/
そして、これらの立証責任は課税庁(税務署、国税局)側にあるので、
これを実際の税務調査の現場では主張していくことが重要です。
「これらを満たさない限り、役員賞与と否認できないですよね」と。
これは納税者が勝った画期的な裁決ではありますが、
この基準は法令、通達のどこかに書いてあるものではありません。
実際、税務調査の現場では「役員への個人的な利益供与」であっても、
「役員賞与」ではなく、「役員への貸付金」とされることもあるのです。
では、この判断基準はどう考えればいいのでしょうか?
ここで1つの判決(神戸地裁(平成15年1月24日、確定))
をご紹介します。
この税務裁判では売上原価に計上した10億円が架空原価であり、
役員貸付金となり、利息相当額が役員給与であると否認されました。
しかし、納税者は「これは売上原価だ」と主張し、裁判になりました。
結果は「この10億円は架空原価であり、役員貸付金となる」
と納税者が負けました。
ちなみに、この10億円は株式、山林、ハワイの不動産という
「個人消費」に使われていましたが、役員貸付金(=利息は給与)
と否認されたのです。
当たり前ですが、
○ 会社からの「給与」で個人資産の購入、消費をする
○ 会社からの「貸付金」で個人資産の購入、消費をする
ということは、どちらも成り立つものです。
会社からのお金などが役員個人に臨時的に移転し、
さらに、それが個人的な資産の購入、消費に使われていたとしても
100%役員賞与ではないのです。
実際、上記の神戸地裁の判決では個人資産の購入に使われていましたが、
「役員貸付金」とされているのです。
ちなみに、役員賞与と否認すれば、
法人税、重加算税、(消費税)、源泉所得税と課税できるので、
税務調査官は大きな成績を収めることができます。
しかし、「個人的な資産の購入、消費 = 役員賞与」ではないのです。
もちろん、今日の内容は法令や通達に明記されているものではなく、
明確な基準があるものではありません。
ただし、上記の神戸地裁のような判決もあることも事実です。
もし、皆さんの会社が税務調査で「役員賞与」と指摘されたら、
○ 平成23年8月30日のメルマガ
→ 平成22年12月17日の国税不服審判所の裁決
○ 神戸地裁の判決
から反論してみてください。
なお、どちらの事例を使うかはケースバイケースですので、
税務調査官から指摘された内容により変える必要があります。
今日の考え方は非常に重要なものなので、覚えておいてくださいね。
---------------------------------------------------
(株)日本中央会計事務所・日本中央税理士法人
代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
(本社)
東京都港区西新橋2丁目6−2 ザイマックス西新橋ビル3F
電話:03−3539−3047
(横浜支店)
神奈川県横浜市西区高島2−19−12横浜スカイビル20階
電話:045−440−6087
○顧問契約、単発のご相談のお問合せは
http://www.77setsuzei.com/form/consul/index.html
○節税、税務調査のノウハウ(動画あり)
http://www.success-idea.com/zeimu/
---------------------------------------------------
●ご友人、知人にもこのメルマガをご紹介ください。
→ http://www.success-idea.com/magazine/
●恵まれない方のために
みなさんが1クリックすると
協賛企業が慈善団体に寄付してくれます(1クリック=1円)。
今、自分がここにいられることに感謝し、1日1回クリックしませんか。
私も毎日、ワンクリックしています。 http://www.dff.jp/
●本メールマガジンは専門的な内容を分かりやすくするため、
敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。
お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。
また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、
ご注意ください。
■編集後記
今日のメルマガは通勤電車の中で大半を書きました。
始発電車で座れるからこそできることですが、
席は満席で立っている方もいますね・・・。
どの時間帯の電車に乗ってもいつも思うことですが、
寝ている人、スマホを触っている人が多いですね・・・。
しかし、本を読んだり、英会話を聞いたりして、
勉強している人は少ないです。
ただ、この時間を計算してみると、膨大な時間になります。
○ 1日2時間×週5日=週10時間
○ 10時間×45週※=450時間
※ 1年は52週なので、稼働する週を45週としました
○ 450時間×10年=4,500時間
○ 4,500時間÷8時間※=562.5日
※ 1日8時間の稼働とした
つまり、1日2時間の通勤時間をどうすごすかによって、
10年もすると、非常に大きな差となるのです。
「塵も積もれば、山となる」ので、大切にしたい部分ですね。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人