副社長、専務、常務などの役員への賞与が経費になる場合、ならない場合とは?
2013年01月22日 12:34
副社長、専務、常務などの役員への賞与は基本的にはなりません(届出書を出した場合を除く)。
しかし、世の中には通称(自称、呼称)が副社長、専務、常務などであり、実態は使用人兼務役員(=役員兼従業員)であることもよくあります。
そこで、今日のメルマガでは過去の裁決、判決を例に挙げ、副社長、専務、常務などの役員に対する賞与が経費になった事例、ならなかった事例(否認された事例)を解説します。
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今回は「専務や常務への賞与は経費にならないのか?」をお伝えします。
「取締役」という肩書きは登記されているので、
誰が見ても「この人は取締役なんだな」という明確な判断ができます。
しかし、「専務」や「常務」などの肩書きは
登記されている訳ではないので、同じレベルでの判断はできません。
また、「取締役」として登記はされているものの、
通称(または、呼称)が「専務」、「常務」ということもあります。
さらに、営業上の理由から、こういう肩書きを名刺に印刷することもあり、
実態としては「役員兼従業員」ということもあります。
例えば、「常務取締役営業部長」という肩書きを名刺に入れ、
他の営業マンと同様に営業し、その成績に応じた歩合給や
決算賞与などをもらっている場合もあります。
しかし、役員に対する賞与は法人の経費になりませんが、
取締役兼従業員が従業員としてもらう賞与は経費になります。
では、専務や常務に対する賞与はどのように判断すべきなのでしょうか?
これに関しては納税者が勝った事例、負けた事例、通達があるので、
順にご紹介していきます。
<納税者が勝った事例>
○ 国税不服審判所 昭和56年1月29日
・ 取締役が「専務取締役」という名刺を持ち、営業していた
・ 取締役会などにより、専務に選任された事実はない
・ 決算書、議事録などにも「専務」とは記載されていない
・ 役員兼従業員であるのが妥当であり、賞与は経費になる
○ 国税不服審判所 平成14年1月31日
・ 取締役が「常務取締役営業本部長」という名刺を使用していた
・ この取締役の持ち株割合は0.5%
・ 営業会議でも「常務」と呼ばれていた
・ 定款、株主総会、取締役会などで選任された事実はない
・ 決算書、議事録にも「常務」とは記載されていない
・ 他の営業マン同様、営業目標が設定され、順位づけがされている
・ 役員兼従業員であるのが妥当であり、賞与は経費になる
<納税者が負けた事例>
○ 岡山地裁 昭和63年12月20日(協同組合の事例)
・ 形式的であれ、定款上の専務理事なので、
実際の仕事内容がどうであれ、賞与は経費にならない
○ 国税不服審判所 平成19年1月18日
・ 取締役工務部長を専務取締役とする人事異動書が社内に掲示された
・ 組織機構が明確に定められている
・ 代表取締役を頂点とする取締役、部長などの職制も明確になっている
・ 株主総会、取締役会は開催されていない
・ 代表取締役がこの会社の意思決定となっている
・ 人事異動書が掲示されたことにより、専務という肩書きになった
・ 後任の工務部長が選任され、従業員としての肩書きもない
・ 役員兼従業員とはならず、賞与は経費にならない
なお、法人税基本通達9−2−4では下記の旨が記載されています。
○ 副社長、専務、常務などの役員は役員兼従業員とはならない
○ この役員とは定款、または、株主総会や取締役会の決議などにより、
その地位が与えられた役員をいう
いかがでしょうか?
社長が
○ 頑張った分はきちんと還元してやりたい
○ 在籍年数も長く、頑張っているので、肩書きも付けてやりたい
というお気持ちを持つことはよくあります。
しかし、それは1つ間違えれば、
「本人が頑張った分の賞与が経費にならない」
ということにも発展し得るのです。
だから、
○ 専務や常務という肩書きをどういう方法を経て与えるのか?
○ 頑張った分をどういう形で還元するのか?
→ 例:翌期の役員報酬を増やす
ということは非常に重要なのです。
中小企業の場合、営業上の理由から
「専務」や「常務」などの肩書きを付けることもあります。
これが単なる「自称」、「通称」であれば、
その役員兼従業員に対する賞与(従業員分)は経費になりますが、
そうでない場合は経費にすることができません。
「専務」や「常務」という肩書きを付けるなら、
その運用方法には十分な注意をすることが大切なのです。
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ご注意ください。
■編集後記
最近、読んだ本で面白かったものをご紹介します。
ベストセラーにはなっていますが、
ノーベル賞を受賞された山中伸弥先生の本です。
題名は「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」です。
非常に面白い本なので、是非、お読みくださいね。
「ノーベル賞を受賞された山中先生も『努力の人』なんだな」
ということが分かる1冊です。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人