役員退職金による節税、税金、損金算入の関係
2013年03月05日 14:45
役員退職金を支払えば、法人税は大きく節税でき、また、個人の所得税も役員報酬にくらべ、安くなり、節税することができます。
しかし、そういう節税があるだけに、税務署から狙われやすいことも事実ですが、否認されては「折角、節税したの・・・」となってしまい、逆節税になってしまいます。
そこで、今日のメルマガでは節税対策として支払った役員退職金を否認されないための
考え方をお伝えします。
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朝4時起きの税理士 見田村です。
いつもありがとうございます。
今、セミナーの準備をしているのですが、
私はいつもマインドマップで概要をまとめてから、実際の資料を作ります。
マインドマップを固めてから行なうと、
内容が体系的に上手くまとまるのです。
プレゼン資料の作成や備忘録としても使えるものであり、
無料のソフトもあるので、是非、ご参考になさってくださいね。
ちなみに、私はマインドジェット社の「マインドマネージャー」
というソフトを使っています。
では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「役員退職金による節税と否認リスク」をお伝えします。
3月は中小企業の5社に1社が決算を迎える月です。
中には今期限りで代表取締役を退くという方もいらっしゃるでしょう。
ただし、その際に問題となるのが「適正な役員退職金の額」で、
微妙な判断を伴うケースも多々あります。
実際、「役員退職金として、○円を支払いたいのですが、
大丈夫でしょうか?」という単発のご相談を頂くこともよくあります。
たしかに、役員退職金を支払えば、
○ 法人税の節税ができる
○ 役員報酬よりも低い所得税での個人所得となる
ので、できるだけ多く支払いたいということもあります。
しかし、役員退職金は税務調査でも狙われやすく、
その「金額」、「退職した事実」には細心の注意が必要です。
なぜ、狙われやすいかというと、
○ 役員退職金だけの否認でも、否認額が大きくなる
○ 実質的には退職していないのに、退職金で節税しているケースがある
からです。
ちなみに、役員退職金の否認パターンは下記の2つです。
1、役員退職金の額が過大である
→ 法人側:過大部分だけが損金(=経費)にならない
→ 個人側:所得税は変わらない
2、退職の事実がないのに、役員退職金を支払った
→ 法人側:役員退職金ではなく、役員賞与として否認
→ 個人側:役員退職金としてではなく、役員賞与として課税
当然、否認によるインパクトが大きいのは上記2で、
ここは「現実はどうなのか?※」という問題となります。
※ 「事実認定」といいます。
※ 以下の文章でもこの言葉を使いますので、覚えておいてください。
もちろん、完全引退ならば、上記2の問題にはならないのですが、
「代表権のない会長」という立場などで取締役に残ることもあります。
では、どういうことに注意をすればいいのでしょうか?
まずは、法人税の基本通達に書いてある内容を
簡単に書いてみたいと思います。
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例えば、次に掲げるような事実があった場合など、
役員としての地位や職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情
にある場合は、役員退職金となる(=上記2の否認を受けない)。
(1)常勤役員が非常勤役員になったこと。
→ 非常勤でも代表権があったら駄目
→ 代表権はないが、実質的に経営上の重要な地位にいたら駄目
(2)取締役が監査役になったこと。
→ 実質的に経営上の重要な地位にいたら駄目
→ 一定の持株数の要件を満たしていたら駄目(詳細は割愛)
(3)役員報酬が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
→ 実質的に経営上の重要な地位にいたら駄目
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もちろん、役員報酬の50%以上の減少などは形式的にも明確ですが、
「実質的に経営上の重要な地位」にいるかどうかは「事実認定」の問題です。
だから、「そんなの分からないでしょ」と
安易に考えている方も多いのです。
また、「仕事ばかりの人生だったので、引退してもやることがなく、
引退後もある程度は会社に来たい」とおっしゃる方も多いです。
しかし、それは非常に危険でなのです。
実際、そういう安易な発想から事実認定で否認された事例は
【沢山】ありますし、これで否認されたら、上記2の否認となります。
つまり、「法人税と所得税のダブルパンチ」なのです。
では、税務調査で指摘されることに備え、
どういう準備をしておけばいいのでしょうか?
「実質的に経営上の重要な地位」にいない「事実」は当然に必要ですが、
下記の資料を準備しておきましょう。
○ 稟議書、契約書などの決済、押印は現代表取締役が行なっている
→ 実印の管理も現代表取締役が行なっている
○ 重要な取引先などとの交渉も現代表取締役が行なっている
→ 前代表と現代表が一緒に挨拶に回った際の日時などの記録
→ 引継書などの作成など
○ 人事異動、給与改定、人事考課などの最終決定を現代表がしている
→ 具体的な書面やメールの履歴など
結果として、「退職の事実」をどう反論していくのか?、
ということが必要になってくるのです。
ちなみに、筆頭株主(35%)が代表取締役を退任後も監査役として残り、
役員退職金を否認された事例がありますが、これは納税者が勝っています
(東京地裁、平成20年6月27日)。
この裁判の中で税務署は下記の主張をしましたが、負けたのです。
○ 取締役を退任後も原告会社の監査役であり、筆頭株主である
○ 約15年間にわたり、この会社の代表取締役を務めていた
○ 現在の代表取締役である甲の父である
○ 長年の経験を活かし、また、その所有する株式を通じて、
会社の経営に影響を与えることができる
○ 引き続き、会社の経営上の重要な地位を占めているから、
実質的に退職したとは認められない
また、この判決文の中に上記の通達に関して書かれている部分があるので、
簡単に書き直してみたいと思います。
○ 通達が具体的に規定している事情はあくまで例示にすぎない
○ 実質的に退職したと同様の事情にあると認められるか否かを
具体的な事情に基づいて判断する必要がある
いかがでしょうか?
繰り返しになりますが、役員退職金は狙われやすく、
かつ、安易に考えている方も多い部分です。
しかし、否認されたときのインパクトは「本当に」大きいので、
事前にきちんと準備しておくことが重要なのです。
覚えておいてくださいね。
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■編集後記
4月から新刊の執筆にかかるのですが、
もしかしたら、複数冊の同時進行になるかもしれません・・・。
4月になったら、かなり落ち着くと思っていたのですが、
なかなかそうはいきませんね・・・。
ただ、本は自分のブランディングにもなるし、
メルマガ読者さん以外の多くの方にもお読み頂けるので、
これからも頑張って書いていこうと思っています。
大変ではあるのですが(笑)。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人