非上場株式の評価(評価損の計上)と増資のタイミングの関係
2013年06月11日 09:54
節税を考える場合、出資した非上場株式の評価損を検討すべきですが、その時価(評価)をめぐっては争いがあることも事実です。
そこで、今回は非上場株式の時価(評価)、評価損の計上、増資のタイミングという論点から節税にもなる方法を検証してみたいと思います。
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では、1分セミナーにいきましょう。
今回は「非上場株式の評価損は計上できるのか?」をお伝えします。
上場企業には複数のグループ企業があることは一般的ですが、
中小企業でも子会社、関係会社を持っていることはよくあります。
しかし、この子会社、関係会社の事業がうまくいかず、
当初の出資額の価値を大きく割り込むことがあります。
この場合、一定の要件を満たせば、非上場株式であったとしても、
株式の評価損を計上することができます。
なお、一定の要件とは、親会社A社、子会社B社という前提の場合、
下記の条件となります。
(1)A社におけるB社株式の帳簿価額×約50% > B社株式の時価
→ 純資産価額をベースに計算
(2)近い将来において、B社株式の時価は回復が見込めない
だから、皆さんの会社の子会社、関係会社がこういう状況ならば、
出資者側の会社(親会社など)で評価損の計上を検討すべきなのです。
以下、話を分かりやすくするために、
出資した会社(親会社など)をA社、出資を受けている会社(子会社など)
をB社として記載します。
ただし、1つ注意点があります。
B社のような会社を継続させる場合、資金繰りが大変なので、
事業資金をA社が融資したり、増資したりすることがあります。
この場合、「増資の時点」と「評価損を計上する時点」には
注意しなければならなのです。
具体的には
○ 増資の直前において、B社は債務超過である
○ 増資後においても、B社は債務超過である
という場合には、評価損の計上はできないということです。
なぜならば、債務超過の会社に増資するということは、
上記(2)の「近い将来の回復が見込めない」という状態ではない、
と考えるからです。
逆に言えば、「回復することが見込めるから増資する」
ということだからです。
ただし、あくまでもこれは「増資の払い込み【後】における評価損は駄目」
という内容です(増資後、一定期間は駄目という意味)。
これに関して、争われた裁決(国税不服審判所、平成7年4月14日)
があります。
この事例の前提条件を簡単に書くと、下記となります。
○ A社がB社に出資(9,900万円)
→ A社は9,900万円の大半を評価損として計上した
○ B社は4期連続の営業不振で資産状態が悪化していた
○ A社は「期末直前」にB社に対する増資を取締役会で決議
○ A社は「期首」にB社に対する増資を実行
→ B社に対する貸付金を資本金に振り替えた
この状況の中、税務調査で「B社の資産状態は評価損が計上できる程には
悪化していない」と否認されたのでした。
しかし、国税不服審判所は
○ A社が債務超過のB社を存続させるために増資することは
やむを得ない場合もある
○ 単に「増資=業績の回復が見込まれる」という訳ではない
○ 増資直後の株式の評価減は認められないとしても、
増資直前の期まで評価損の計上が制限されるべきではない
○ 今回の場合は期末までに取締役会の決議などはされているが、
実際の増資は翌期だから、評価損の計上は問題ない
と判断し、納税者が全面的に勝ったのです。
ちなみに、この事例では資産状態の判定として、
B社所有のC土地の時価が1つのポイントでした。
なぜならば、C土地の評価がB社株式の時価に大きく影響するからです。
そして、A社はC土地を「取得価額×路線価の値上がり率」で
評価しました。
これに対して、税務署は「C土地は公示価格をベースに評価すべき」と
したのです。
この土地の評価方法についても「課税上の弊害がない」ということで、
国税不服審判所はA社の計算方法を認めたのです。
ただ、個人的には多額の評価損を計上する事例なので、
事前に不動産鑑定を取るべきだったとも考えます。
いかがでしょうか?
企業規模を問わず、グループ企業があることはよくあり、
その子会社、関係会社の業績が振るわないことはよくあります。
そういう場合は、株式の評価損の計上を検討してみましょう。
ここは案外、見落とされがちな節税方法になりますので。
ただし、上記(1)(2)の条件のうち、
資産状態の悪化は「約50%の悪化」という基準がありますが、
(2)の「近い将来に回復見込みがあるかどうか」に基準はありません。
ここは「事実がどうであるか」ということなので、
税務調査で問題になる可能性も想定されます。
そこで「近い将来に回復する見込みのないこと」を
立証する資料(例:当時の営業会議の記録など)を
きちんと残しておきましょう。
何でも同じですが、税務調査で争った場合は、
どういう証拠資料が残っているかが本当に大切なのです。
私が税務調査のご相談をお受けし、「○○という資料はありますか?」
とお聞きしても、「それはありません、捨てました」などということも
よくあります。
ただし、そういう資料こそが大きなポイントになったりするのです。
取引の中で発生した資料は「何1つとして」捨てるものはなく、
量が増えたとしても、「全てを保存しておくべき」と思ってください。
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代表取締役・代表社員・税理士見田村元宣
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お伝えした方法を実行する際は当社までご相談ください。
また、この内容は掲載日現在の法令や通達などに基づいておりますので、
ご注意ください。
■編集後記
フェイスブックに「起業家、中小企業の社長の年収」というテーマで
記事を書いたところ、いつもよりも多くの「いいね」を頂きました。
一部を加筆し、下記に記載しますので、どうぞ、ご覧ください。
私は税理士という職業柄、企業の大小、社歴を問わず、
色々な社長さんとお話しする機会があるのですが、
「社長の年収」ということがテーマになることがあります。
その時にいつもお話しすることが「年収が○万円になりたいならば、
○万円の年収を取っている友人、知人、よく食事する人が周りに必要」
ということです。
その人の息遣い、発想、組織論などを肌で感じ、自分の刺激とし、
○万円を現実的な目標と感じることが非常に大切なのです。
私もそうやって階段を上ってきました。
まだ、会社の売上も自分の年収も少ない時から、
実績のある人達の輪に入り、食事をさせてもらったりしました。
その経験が今の自分に多大な影響を与えていると実感しています。
「年収○万円になりたい」という目標があるならば、
ビジネスプランも大切ですが、そういう人達の輪に入ることが
本当に大切なことなのです。
もちろん、これは単なる利己主義的な考え方ではありません。
年収が全ての基準ではありませんが、
自分よりもレベルの高い人達の輪に入り、成長することが大切なのです。
投稿者: 節税のことなら節税専門の税理士、(株)日本中央会計事務所、日本中央税理士法人