節税のことなら東京都港区の税理士、(株)日本中央研修会、日本中央税理士法人

本書の「はじめに」をお読みください。

最初に申し上げておきます。今回、税務調査対策の書籍を執筆しましたが、私は反国税的な税理士ではありません。
経営をしていくうえで税務調査は定期的に受けざるを得ないものですし、会社と税理士と税務調査官の信頼関係があって、初めて成り立つものだとも考えています（そもそも納税者を色眼鏡で見ており、信頼関係が構築できない調査官もいますが）。
しかい、私自身がお客様の税務調査に立ち会っていて、あるいは、他の税理士から相談を受けた税務調査の内容から感じるのは、「税務調査官に税務の知識が足りない」「税務調査の否認が正しく行われていない」ことが少なくないということです。
言い換えるなら、顧問税理士が知識不足だったり、税務調査の交渉方法を知らなかったりという原因により、税務調査の否認が正しく行われておらず、納税者が不利益を被ることが多々あるのです。
医者にも名医とヤブ医者がいるように、同じようなレベルの差は税理士にも確実にあります（これは私が業界にいるからわかることですが、弁護士なども含め、専門的な仕事は全て同じです）。
そして、こうした不利益は、納税者が気付かないまま闇から闇へと葬り去られてしまっているのです・・・。

例えば、「重加算税」ではそういう問題が起こりがちです。
重加算税とは、不正（隠ぺいや仮装）があった際、追加で支払う税金×35%、そもそも無申告だった場合は40%がペナルティーとして課され、本税とともに納税するものです。
これが本来なら課されなくてもいいのに、課されているケースは本当によくあります。
私自身、税務調査に立ち会っていて、「先生、これは重加算税の対象になります」と言われながら、結果として重加算税を回避したことは数え切れないほどあります。
そのためには、
・反論や交渉のための根拠（過去の判決など）
・反論や交渉のやり方（抗弁所の書き方など）
を知っていることが必要です。
こういう税務調査で戦うための「武器」が揃っていないと、納税者の方は確実に不利益を被るのです。
もちろん、納税者の方が税理士をつけない状況で税務調査官と交渉しているなら、武器が揃っていなくても仕方のないことです。しかし、顧問税理士がいるにも関わらず、これらの武器が揃っていないことも少なくありません。
すると、税務調査官の主張が間違ったまま通りやすくなりますし、それを納税者の方が「顧問税理士がそういうなら間違いはないだろう、そうしたほうがいいだろう」と信じ、認めてしまうことになるのです。
税務調査に関する単発のご相談があった場合、私は顧問税理士がいる・いないに関わらず、納税者の方ご自身が税務調査官と交渉する前提で、「交渉に使う過去の判決」、「交渉の仕方や反論方法」を必ずお伝えするようにしています。
戦うための知識がないということは、その会社にとって「余計な納税額の流出」が半永久的に続くということです。だからこそ、この2つの「武器」を、より多くの経営者の方に知って頂きたいのです。

自社が納得しにくい否認を受けたときは、すでにどこかの会社が争い、勝ったというケースが存在していることもよくあります。そういう実例を提示できることが、税務調査においては非常に重要です。
ですから、本書では、過去の国税不服審判所の裁決、税務訴訟の判決で重要なものを数多く取り上げ、具体的日付もあえて掲載しました。
これは同じような状況になった場合の反論材料に使っていただきたいからです。
一般の方にとっては関係ない情報と思われるかもしれませんが、税務調査で何かが問題になった際には、顧問税理士に「先生、こういう事例があるので、探して反論材料に使ってもらえませんか？」と依頼することもできます。そういうときに具体的日付がわかっていると便利です。
なお、過去の裁決・判決に関しては、わかりやすくするため、税務調査を行った税務署、国税局の両方を「税務署」と表記を統一しております。この点をご了承ください。

本書は、私の実際の経験、過去の事例なども交え、現実的に経営者の方の役に立つことを最優先に書きました。お読みいただければ、否認項目の数や否認金額、そして重加算税が課されるケースも確実に減ると断言できます。
本書が納税者の方々の利益を守る一端になれば、これほど嬉しいことはありません。

日本中央税理士法人 代表税理士 見田村元宣